前原氏VS産経新聞から感じる懸念   2012 年 2 月 27 日

前原氏と産経新聞の対立は産経に分があり、前原氏は産経の会見参加を早く認めた方がいいという話は前に書いた。きょうは、この問題で私が感じる2つの懸念について書きたい。

政治家や役所の記者会見は、これまで記者クラブに加盟するメディアしか定期的な取材ができなかったが、最近オープン化が進みつつある。このためネットメディアやフリージャーナリストが、活動の場を飛躍的に広げている。そして政治家や役所も、ホームページやブログなどを通じて自ら積極的に発信している。

さてそうなると、取材のオープン化とメディアの多様化を理由に、公の立場にある人や組織が、メディアを「堂々と選別」し始めるのではないかという1つ目の懸念を感じる。実は、小沢一郎氏が一時期、「ネットメディアの方が新聞やテレビよりも正確に報道してくれる」と言っていたのを何かで聞いたときに、ふとこの懸念が頭に浮かんだ。今回、前原氏が産経を排除したことも、政治家がメディアを「堂々と選別」する潮流にならないよう決着してほしいと願っている。前原氏は与党政調会長という職責の重さから、小沢氏は政界への影響力から、2人とも広く取材に応じるべき立場にいると私は思う。

さて、もう1つの懸念は、政治家や役所がメディアを選別したときに、今のメディアが一丸となって戦えるかどうかである。今回の問題では自民党の世耕氏が、産経抜きの会見を容認した他社を「メディアの自殺行為」と批判している。http://blogos.com/article/32679/?axis=t:6311

前原氏と産経の対立は、産経以外の新聞・通信社も報道したし、テレビも何社か報道したようだ。他社が会見の場で抗議したという報道もあった。メディア各社は、やるべきことを一定程度したと私は思う。

しかし、もし会見から退席させられたのが産経ではなくネットメディアやフリージャーナリストだったら、新聞やテレビは無視するのではないか。ひょっとしたら、その場で抗議すらしないのではないか。ネットメディアやフリーと大手新聞・テレビの冷えきった関係をみると、新聞やテレビが、ネットメディアやフリーを擁護する姿がどうしても想像できない。

メディアの多様化と取材現場のオープン化が進み、俗にいう「記者団」の質が変わりつつある今こそ、メディアは報道の目的を改めて考えるべきだ。一番大切な視聴者や読者、つまり国民のことを考えれば、新聞・テレビとネットメディア・フリーがいがみ合っていても、いいことは1つもない。

これからも、メディアと公人の対立はたびたび起こるが、メディアは取材先に萎縮したり、他人事だと思ってうやむやにすることなく、国民のためになる行動を見せて欲しい。

最後に、「堂々と選別」にわざわざカッコをつけたのは、政治家や役所が暗に特定のメディアを敬遠することは昔も今のあるからだ。また、いくら公人でも、アポも取らずに本人はおろか家族までに迷惑をかけるような、非常識な取材につき合う義務はないことも付言しておきたい。

この記事は 2012 年 2 月 27 日 月曜日 6:41 AM に投稿されました。

コメント / トラックバック 3 件

2012 年 2 月 27 日 3:16 PM
フジワラコウキ より:

BLOGOSで記事を読んでこのブログに来ました。
前原氏は産経新聞に「言うだけ番長」と表現されたことを屈辱的に感じ、あの様な行動にでたのでしょう。しかしながら、代表の頃のニセメール事件、国土交通相の頃の八ツ場ダム建設中止・JAL再建・中国漁船対応、いずれも「言うだけ番長」と論評されても見当違いとは言えないと思います。
ただ、この記事ではメディア対応の部分で”実は、小沢一郎氏が一時期、「ネットメディアの方が新聞やテレビよりも正確に報道してくれる」と言っていたのを何かで聞いたときに、ふとこの懸念が頭に浮かんだ。”と表現していますが、小沢氏は自由党代表の頃から全てのメディアに対して会見をオープンにして来ているので、この表現では読者に誤解を与えてしまうと思います。
また、小沢氏の発言趣旨を誤解しています。小沢氏が「ネットメディアの方が正確に報道してくれる」と発言しているのは、大手記者クラブメディアは枠が限られているため発言内容をまとめざるを得ないが、その多くが歪曲や記者個人のイメージ(特に見出し)だけを記事にすることを指しており、何も脚色していないネットメディアから個々が情報を得た方が正確であることを示しているのだと思います。

2012 年 2 月 27 日 5:56 PM
yousei より:

フジワラコウキ様
コメントありがとうございます。
小沢一郎氏が、会見オープン化の先駆け的存在であることは承知していますし、私も素晴らしいことだと思っています。そしてフジワラさんが言われるように、小沢氏の発言が、脚色が少ないネットメディアの特性をとらえていることもその通りだと思います。
しかしながら、小沢氏が一時期、新聞とテレビの記者に無言を貫き、ネット上では笑顔で出演していた姿は、私としてはメディアの選別だと感じざるを得ませんでした。会見のオープン化を進めてきた小沢氏だけに残念に感じました。
小沢氏は、前原氏のように感情的な選別はしていませんし、そうするべきでないことを理解して行動していると思います。最近は朝日新聞のインタビューにも応じています。ですから、小沢氏の時は「ふと」懸念した程度でした。
しかし、前原氏の行動をみて、2人のあとにも、メディアの多様化に乗じた政治家や役所によるメディア選別が進むのではないかという懸念が深まり、今回のブログを書かせていただきました。
表現が大雑把で分かりにくかった部分は反省し、今後の執筆に活かしたいと思います。
ありがとうございました。

井出ようせい

2012 年 2 月 28 日 12:16 AM
フジワラコウキ より:

”小沢一郎氏が、会見オープン化の先駆け的存在であることは承知していますし・・・”とご存知の様。
”しかしながら、小沢氏が一時期、新聞とテレビの記者に無言を貫き・・・”とのことですが、ご自分で調べていらっしゃいますか?小沢氏はきちんと要請された会見を断ったことは無いとBS11でおっしゃられています。

私は既得権益にしがみつき、どの新聞・テレビを見ても同じ報道の大手記者クラブメディアに疑問を感じていますが、それにしても前原氏の行動は、世論調査で首相候補として名前を挙げられる政治家(公人)・与党の政調会長として疑問を持たざるを得ません。

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