行動なくして
実現なし
004.政治

小泉純一郎 細川氏応援演説(1月23日新宿 約15分間)

続いてきのうの小泉純一郎さんの、細川氏応援演説です。写真の下から、ほぼ全文です。

「夢かもしれない。しかし、夢は実現しないと思っている人が多いかもしれない。けれども、この原発ゼロの社会を作ろうという夢は、実現できる夢なんです」という部分が印象に残りました。
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『小泉純一郎です。
細川さんを都知事にしなきゃいかんと思って、やってまいりました。
総理をやめた、70過ぎた小泉が、なぜ、いまごろ都知事選挙に出るんだ。出るんじゃない。細川さんを応援にやってきたんです。
「都知事と国政を間違えるな」と批判する人がいる。確かに、都の問題は原発だけじゃない。防災や各地域の商店街の発展、さらには高齢者の問題、雇用の問題、福祉の問題、様々な問題が山積している。評論家の皆さんは言います。「都政で原発を論ずるのはおかしい」しかし、有権者の皆さんが何を重視するかというのは、人それぞれ、全部違う。評論家の皆さんが、「原発は都政ではない」と考えるのはそれでいい。しかし、有権者一人一人がこの選挙でなにを重視して誰を選ぶか。これが今回の選挙であって、今回の都知事選挙ほど国政を揺るがす、国政に大きな影響を与える選挙は、いままでにないといっていいぐらいだと思っている。
細川さんが都知事に就任すれば、これからの日本国のエネルギー問題を変える契機になりうると思って、細川さんを応援したい。これからもあちこちに応援にまいります。
みなさんは何を重視するか、それぞれで結構です。私は、都知事の選挙だけれども原発の問題、原発ゼロで東京が発展できる。原発ゼロでオリンピックとパラリンピックは成功させることができると思っているから、細川さんを推薦したいんです。
「原発ゼロなんて無責任なことをいうな」「理想を掲げても代案がないじゃないか」と言っている、推進論者のもっとも大きな批判だ。しかし、この原発の問題ほど、様々な問題を含んで、これからの日本の発展に、また、世界にとっても、どのような生き方が大事か。これを含んでいる、大きな、深い、大きな問題だと私は思っている。
東京都をどのように安全にするか。直下型地震からどのように備えをするか。様々な、福祉の問題、地域の発展、そのような問題は、どなたが知事になってもたいした違いはでないでしょう。都知事だけれども、原発ゼロにするかどうか。これが、大きく違っている問題だと思っている。だから、一都知事の問題だけれども、東京は日本の首都です。世界の大都市です。6年後にはオリンピックが開かれる。こういう時に、「原発ゼロで日本は、オリンピックパラリンピックを成功させた」「ゼロで、自然エネルギーで、そういう国に日本が変わろうとしている」「自然を大切にする。環境を先進国だ」省エネ技術、再生可能エネルギーを世界に輸出できる。そういう国に生まれ変わるきっかけが、今回の都知事選挙だと思う。
いま、「オリンピックを、原発ゼロでやっていけるのか。そんな無責任なこと言うな」と言っている人がたくさんいる。しかしながら、去年東京が「オリンピックやりたい、パラリンピックやりたい」と手を挙げた。東京五輪、オリンピック招致委員会、IOC、世界にむかって「原発ゼロでもオリンピックはやっていける」という宣伝をしていたんじゃないのか。その人たちがなんで今、「原発ゼロを無責任だ」なんていうんだ。原発ゼロでもやっていけるから、「原発ゼロでもオリンピックは大丈夫です」と言っていたのは、オリンピック招致委員会のみなさんではないか。いまになって、小泉が原発ゼロになって、「バカげたことを言う。愚かなことをいう」と批判するのは、どっちがおかしいんですか。
3年前の3月11日、東北地方の地震、津波、原発事故。あれを見て、あの悲惨な状況をみて胸をいためなかった人はいないでしょう。「これはたいへんなことになった」「いままで原発は安全だ。原発は他のエネルギーと比べて最もコストが安い」といっていた我々は不明だった。過ちを改むるに憚ることなかれ。原発は安全でもない。アメリカのスリーマイル島。30年前に事故を起こした。いまだに多くの問題を残している。それ以来アメリカは、原発の新設をゼロにしたじゃないか。チェルノブイリ、未だに被害がおさまらない。そして、「日本は安全だ」といっていた。技術的に優れている。そう思って54基の原発を作ってきた。「CO2を削減する。永遠でクリーンなエネルギーだ」といって進めてきた。ところがどうですか。ひとたび事故が起こったら、取り返しのつかない大きな被害を与える。人体だけじゃない。動物にも植物にも、農産物にも水産物にも畜産物にも、ちょっとやそっとの金じゃ償いきれない、大きな被害を与えることが分かってきた。
今回の事故で、原子炉のメルトダウンがおきた。あれがもっとひどかったら、東京都民だって逃げたかもわからなかった。いまや、よく原発の問題を勉強するにつれて、建設の必要、安全対策、事故が起きた時の賠償問題、これから廃炉にするといっても40年50年かかる、その廃炉の費用、そういうものを総合すれば、原発ほどコストがかかるものはないということが分かった。これをみてなおかつ、わずか3年前のことを、なかったかのように、原子炉のメルトダウンがなかったかのように、忘れたかのように、いま新エネルギー計画で、原発を依然として基本的な電源とする計画を閣議決定しようとしていた。ところが、細川さんが原発ゼロで立候補をする。そういう噂が立ったとたん、その決定を先送りしちゃったじゃないか。選挙の争点にしたくなかったんだ。すでに、選挙前からこの原発問題が多くの人に関心を持つととんでもないことになるなと。いままで進めていた、投資していた、そういうものが、あやうくだめになるかもしれない。できるだけ原発から目をそらせたいと思って、あえて「東京の都知事は原発問題だけじゃない」と。確かに原発問題だけじゃない。しかしながら、有権者の皆さんが、何を一番重視するかで選ぶでしょう。私は、今回の都知事選挙は、将来の日本に大きく関わる問題だから。都知事が変われば、国政を変えることができる。原発ゼロで日本がやっていける姿。そのきっかけになるかもしれないと思って、細川さんの応援にたちあがった。
いま、原発の問題で様々な地域が、これからは原発無しでやっていけるんだ。自分たちの自然界にある太陽光、風力、地熱、あるいはバイオマスにしても、これを電気に変える力がどんどんどんどん、小さいながらも始まっている。つい最近までは、「太陽光なんて太陽が欠けたらなくなる」「風力なんて風が無くなったら電気は無くなる」「わずかいま、数%じゃないか」「原発は30%だよ。そんなのゼロにしてやっていけるわけないだろう」という批判が多い。現在でもゼロなんだが、やっていける。そして、太陽光風力、様々な電源、風が吹かなくても、太陽が照らなくても蓄電技術がどんどん進んだ。
かつて、日本は油が安いために、油に依存していた。40年前です。それが、わずか、1バレル2ドル前後の値段が10ドル以上に跳ね上がって、これはもうやっていけないということで、原発はクリーンだと言われて推進してきた。しかし、いま日本はあの石油ショックがあったから、省エネ技術とか再生エネルギーとか、さまざまな、環境に優しい技術を発展させなければいけないということで、あの中東戦争があって、原油があがったから、環境先進国になった。ピンチをチャンスに変えてきたのが日本だ。この大震災のピンチを、原発がなくても日本は発展することができる姿をみせる、絶好の機会がやってきたんだと、私は確信している。原発をやめても、あの原発から排出された核燃料のゴミは依然としてある。「無責任なことを言うな」と言っているけれども、再稼働させるということは、そのゴミを増やしていくことになる。これから原発をゼロにすることによって初めて、国民は真剣にその最終処分の場所を探さないといけない。いずれ、希望をもって日本は原発ゼロでもやっていけるんだという夢を持ちながら進むことができる。その協力体制をとることができる大前提なんです。
夢かもしれない。しかし、夢は実現しないと思っている人が多いかもしれない。けれども、この原発ゼロの社会を作ろうという夢は、実現できる夢なんです。
国民の意思にかかっている、やればできる。しかも原発を発展させてその利益を受ける人は現在生きているけれども、後々の処理を考えたら、300年、3000年、1万年、2万年、我々の想像を絶する後々の世代が負担しなきゃならない。それに比べて、コストのかかる原発の金を、自然界に無限にある、太陽や水や地熱や、牛の糞、馬の糞から、電気を供給できる自然界の資源を、我々の生活にいかしていこう。環境は大事ですよ。自然とともに生きる日本社会を建設しようという、やりがいのある夢に向かってすすむことができるんじゃないですか。
これは政治の決断次第。トップが決断すれば優秀な人が集まります。1人や1つの政党がゼロの代案を出せるはずがない。政治が、ゼロでやっていこうという優秀な知恵をかりて、原発ゼロ社会。自然を資源にする。日本は自然に恵まれている。無限にある。この自然を資源にする社会を作ることができるならば、世界各国の資源戦争に加わる必要がない。こういうピンチをチャンスに変える絶好のチャンスが、今回都知事選で巡ってきた。
細川さんを都知事にすれば、そのような方向にすすむきっかけになり得るから私は、引退した身だけれども止むに止まれぬ気持になった。自分にできることは何か。あと残り少ないかもしれないけれども、やりがいがある仕事に、皆さんとともに進むことができるのは、細川さんが、勇気を出して、この選挙に立ち上がってくれたからだ。
これから投票日まで、細川さんとともに頑張ります。最後に決めるのは皆さんです。みなさんが何を支持するか。この日本をどのようにもっていきたいか。皆さんが鍵を握っている。どうか最後の最後まで、厳しい選挙ですけど、みなさんのご支援を細川さんにお与え下さいますよう心からお願い申し上げます。寒い中、ご清聴ありがとうございました』