行動なくして
実現なし
001.想い

不十分でも形に

Facebookで 何度も書いてきた刑訴法改正審議が、きのう衆議院法務委員会で決着した。自民公明案に民主維新から修正を持ちかけ、4党による修正案として可決された。きのうも書いたが、大変忸怩たる思いが残った。一夜明けて落ち着いたので、できるだけわかりやすく書いてみたい。

政府案は、繰り返しになるが、「取り調べ可視化わずか3%、にもかかわらず司法取引導入&通信傍受捜査大幅拡大」法案であり、村木厚子さんなどの冤罪事件が端緒となった議論の結論としては、あまりに取り調べ可視化が少なく、逆に捜査権限拡大に偏ったと言わざるを得ない。取り調べの可視化と引き換えに捜査手法を拡大することも、必要性があるなら理解する。しかし、政府案では特に通信傍受捜査が、対象犯罪が大幅拡大することに加えて、通信傍受新機材の開発を前提に、警察本部、警察施設での通信傍受ができるようになる。これまでの通信傍受捜査は、通信事業者の施設に警察が出向き、事業者などの立会いのもとに行われてきたが、これからは警察本部で、立会人なしで通信傍受捜査ができるようになる。

修正協議の結果、警察本部で通信傍受を実施するときは、捜査に関わらない監督的立場の警察官が通信傍受に立会い、捜査の適正執行を指導することで落ち着いた。警察本部の通信傍受でも、第3者の立会いを求めてきた私と民主からすると容認しがたい不十分なものとなった。

それでも、通信傍受された記録をこれまでより事後チェックができる改正がされたこと。また、制度的に適正執行が疑問視されていた司法取引も、わずかではあるが歯止めが加わったこと。そして可視化の将来的拡大を見据えて、改正部分全体の広い見直しを3年後にかける修正ができたこともあり、いまは不完全な歯止めであっても修正を形にするほうが良い。協議をご破算にして反対に回り政府原案を成立させるよりも、不十分でも賛成して、捜査権限にわずかでも歯止めをかけることがよいと判断した。おそらく民主党も同じ思いだろう。

2ヶ月半を超える長期審議のなかで、民主維新共産で合同勉強会を開催し問題意識を共有、理路整然とした議論ができたことに感謝したい。また、安保法制議論で国会が空転するなか断続的に修正協議に応じてくれた与党にも敬意を表したい。法務省警察庁にも、我々が審議で訴えてきた思いは理解してもらえたと思う。

今後も刑事司法をチェックし、不断の改革改善をはかるために力を尽くしたい。

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