18951329_1336312016445167_7230164455464887925_nおととい6月7日、法務委員会で、性犯罪罰則強化などの刑法改正案が質疑、採決。1日の審議で採決というのは、論点の多さ、性暴力の被害者や支援に関わって来た人たちの訴えからするとあまりに拙速。他の議員の質問内容も見て、重ならないようにと、一時間あまりの時間に、これまでの準備の全てをかけた。

以下、議事録全文と()内は私の解説、感想。

おそらく今国会、最後の質問。今国会はこうした質疑解説にも取り組んでみたが、長文にお付き合いいただいた皆様に感謝。

◯井出委員民進党、信州長野の井出庸生です。

冒頭、先週の金曜日、本会議で性犯罪の刑法改正の審議が始まり、きょうが事実上最初の質疑の日であるにもかかわらず、本日をもって議論が終局し、採決に至るというこの運びについて強く抗議を申し上げます。

ことしの先月二十九日、性暴力禁止法をつくろうネットワーク、こうしたさまざまな活動をされてきた皆さんからも緊急声明が出ております。緊急声明には、刑法性犯罪の改正よりも共謀罪の審議が与党の合意によって先行されたことについての深い憤り、その上で、刑法の改正を放置することは許されないと。そしてまた同時に、一方で、この改正案には強姦罪の暴行、脅迫要件の緩和等数々の積み残された論点があり、審議に当たっては当事者の声に耳を傾け、改正案に盛り込まれなかった論点も含め十分に議論することを強く求めるとあります。

私は、ここまで、当事者の方の声を、当委員会に参考人として来ていただいて、御意見をいただきたいということを申し上げてまいりました。しかし、その一方で、残念ながら、昨日の理事会では、私のそのような発言に対して、それではこの法案の早期改正というものを諦める、そういうことに等しいというような発言があり、断じてその発言は認められない。

私は、性犯罪刑法の改正の早期の実現と慎重審議、その両方をこれまで訴えてきたつもりでございます。そこは委員長もおわかりいただいていると思いますが、一言いただきたいと思います。

○鈴木委員長 重く受けとめております。

○井出委員 その上で質問に入ってまいりたいと思います。

今回、被害当事者の方々が、与党、野党を超えて一年以上にわたる活動をここまでされてまいりました。そのことについては先日本会議でも申し上げましたが、深く感謝を申し上げます。

大臣にお伺いをしますが、そうした当事者の方と直接会話をされて、そうした皆さんの声を直接聞かれた機会はこれまであったかどうか、伺います。

○金田国務大臣 井出委員の御質問にお答えいたします。そういう機会を持って、お話を伺ったことはございます。

○井出委員 実際にお話をされたと。私も、少ない回数ではありますが、そうした方々とお話をさせていただきました。

また、きょう、本を持ってまいりましたが、山本潤さんという方が、「十三歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル」という本をこの刑法改正と時を同じくして出版されました。

本を読ませていただいて、少しでもそうした当事者の方々に思いをはせる、もし自分や自分の身近でそういうことがあったらどうなのかということに思いをいたして、この本の思いを深く受けとめさせていただいたつもりでございました。

しかし、この本の終盤に、山本さんは御自身の体験から、性暴力被害に遭われて普通の感覚を取り戻すにつれてわかってきたことがある、彼らは知らないだけなのだと。彼らというのは私も含めた社会全体のことを指していると思います。彼らは知らないだけなのだ、そのような恐怖を感じる世界があることを想像もできないだけなのだ、被害を受けているときには選択の自由などなく、彼らが後から言うような、逃げられたり誰かに助けを求められたりする状況など存在もしなかった、こうしたことを理解できないだけなのだと。

本の最後にそのように書かれておりまして、私は、この本の思いをしっかりと受けとめながら読ませていただいたつもりでありますが、それでも、最後の終盤のこの一節には、改めて、私もそうしたところに思いをはせるのに至らないと。再びまた振り出しに戻るような思いをいたしました。(←ここはFacebookですでに書いたこと。ぜひ読んでいただきたい一冊)

この法案の審議というものは、そうした当事者の方々に少しでも思いをはせるということが大変重要であると思いますが、その点について大臣の見解を伺いたいと思います。

○金田国務大臣 委員の御指摘につきましては、私もそのように考えております。(←もう少し、ご自身の思いが入った言葉がほしいところ。しかし、「私もそのように考える」というのは、大臣の常套句。争うところではないので、物足りないが時間に限りがあり、次の質問へ。)

○井出委員 質疑を続けてまいります。

今回、当事者の皆さんが特に強く要望されたものの一つに、強姦の構成要件、暴行、脅迫要件というものがございます。
私どもも、強姦罪の構成要件を何とか少しでも外形上きちっと基準を引きながらも解釈を広げられないか、また、強姦罪の定義を変えることができなくても、準強姦罪の方の抗拒不能という考え方、そこを判例に合わせて、心理的に反抗不能ないし著しく困難、こうした文面などを用いることによって準強姦罪の構成要件を変えることで、それがひいては強姦罪の解釈も変えていくことができないかとさまざま検討を重ねている最中でありました。こうしたことを形にすることができずに、大変残念でなりません。
刑事局長でも構いませんが、伺います。私は、強姦と準強姦というものを、本会議では、法定刑は同じである、強姦も準強姦も強姦であるということを申し上げましたが、強姦と準強姦は本質的にどのようなものを罰するのか。私は、本質的な罰となる対象というものは重なっている、同じではないかと思いますが、本質的な処罰対象について伺います。

○林政府参考人 強姦と準強姦は別の構成要件、別の罰条として掲げられておりますけれども、それを処罰する趣旨及びその保護法益というのは同一でございまして、その意味で重なっていると考えております。

○井出委員 保護法益、性的自由といったところを指して今お話があったかと思いますが、強姦罪の成立の経過を振り返りますと、明治十年、日本帝国刑法草案、これはボアソナードが起草しております。その草案では強姦罪に暴行、脅迫という文字が盛り込まれました。しかし、強姦の強という字に暴行、脅迫という意味合いが含まれるのではないか、そうした議論もありまして、最終的に、旧刑法の条文には、明治十三年の制定になりますが、強姦罪に暴行、脅迫の文言がございませんでした。その当時の三百四十八条は、十二歳以上の婦女を強姦したる者は懲役に処す、薬酒等を用い人を昏睡せしめまたは精神を錯乱せしめて姦淫したる者は強姦をもって論ずと。
ボアソナードは、強姦について、承諾を待たず、そうした考え方を持っていたと言われ、強姦罪の制定の最初のときから、強姦罪の本質は任意の同意のない姦淫にあるということは創設当時から共通認識であった。

今読み上げましたものは、二〇一四年六月に発行されました「性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて」、女性犯罪研究会代表岩井さんという方の書かれている本なのですが、制定当初から、そうした任意の同意のないものを罰するというものがこの法律の出発点であったということを述べております。そのことは現在も変わりがないのか、確認を求めたいと思います。

○林政府参考人 同意がないということ、それによる性交であるということ、このことについて、その本質が変わりがないという点はそのとおりであろうかと思います。
今のは、ボアソナードの時代に、強姦罪の本質は何なんだろうか、こういうことを検討したときに、今委員が言われたように、被害者の同意のない性交であるということにそこの本質がある、そういうことを言われたんだろうと考えます。(←強姦や準強姦は、立証の基準として、暴行脅迫があったか、被害者が心神喪失だったかなど、どうしても処罰の構成要件を満たしているかどうかが注目される。罪を裁くには、法に明確に違反することを示さないといけないから、これはこれで仕方がないことだが、強姦や準強姦が、そもそもどんな行為を罰するためにあるのかということを、強姦罪の制定当時を振り返って質問。思いの外、全面同意の答弁)

○井出委員 この本には、強姦罪の本質は任意の同意のない姦淫を処罰することにある、そして、暴行、脅迫というものは被害者の承諾が不存在であることの証拠であると。ですから、これは、逆から考えれば、暴行、脅迫がなければ強姦が成り立たないということではないんだ、あくまでも本質は承諾不存在の行為を罰することであるということに言及しております。

ただ、さはさりながら、ボアソナード自身も、不承諾の確たるものとして暴行、脅迫というものを強姦の規定に置くことをその後行いました。その一方で、準強姦罪を制定する際にも、ボアソナードは、睡眠などに乗じた姦淫は被害者の承諾がないという点で暴行、脅迫による強姦と何ら変わりもないものであった、そのように発言しているとあります。その後、さまざまないきさつを経て現状の刑法の規定になっていくわけですが、私はもう一度その確認をさせていただきます。

強姦と準強姦、名前は違いますが、対象となる処罰の本質は一緒であり、そしてそれは不同意、不承諾の性的犯罪を取り締まるという解釈が出発点であった。それが法律上明確な線引きということでさまざまな構成要件というものを明示しておりますが、その出発点というものは今も変わらず。そして、今回ここがいじれなかったということは私にとっては最大の痛恨の事態ではありますが、この出発点をこれからも維持して議論を続けてまいりたいと思いますが、刑事局長の見解を伺います。

○林政府参考人 明治の時代での立法の出発点が今委員が御指摘になったところにあるかどうかということについては私が直ちにお答えすることは困難でありますけれども、今から振り返りまして、そのように、明治の時代の立案、立法の時点での強姦罪であるとか準強姦罪の本質は何であるのかということについて、それが同意のない性交であるということに本質を求めるという見解、これについては十分に考え得るところの見解であろうかと思います。

歴史的に、立案当時にそれを出発点としたかどうかということについては私はお答えすることができませんけれども、そういったことに強姦罪あるいは準強姦罪の本質を求める、同意のない性交であるということに本質を求めるという見解は十分に成り立ち得る考え方かなと思います。(←歴史的なことには直ちに答えられないとしながらも、極めて誠実な答弁)

○井出委員 十分に成り立ち得ると言っていただきました。

この本の最後の部分には、例えば面識のある相手からのそうした行為については、特に暴行、脅迫を用いなく、しかも巧妙に意思の自由を奪うことは可能であると。準強姦罪創設、強姦罪創設の背景には、暴行、脅迫という手段によらず、その他の手段を用いた場合でも被害者の任意の承諾なき姦淫は許されないという理念があった。これは準強姦創設のことでございます。

午後に一時間、また時間をいただいておりますので、午後から具体論に入ってまいりたいと思います。一旦終わります。

○井出委員 午前に引き続き、時間をいただきましてありがとうございます。

午前中の質疑で、強姦それから準強姦の罰すべきその本質は不同意、不承諾の行為である、そこにその証左として暴行、脅迫ですとかいろいろな構成要件が来ていると。最後に付言しましたのは、その不同意、不承諾の一連の行為というものは、面識のない者より面識のある者同士の方が、外形上見えない形で、暴行、脅迫とかそういうものがなくても不同意、不承諾というものが鮮明化しない中で性犯罪が行われることが起こりやすいと。ある本の一節を紹介させていただきました。

そこで、まず、きょうお配りをしている資料、新聞でございますが、きょうだいの兄が加害者、妹が被害者になってしまった事例を御紹介します。

「許さない:性暴力の現場で」「兄からの虐待逃げ得…納得できない」、二〇一六年十二月三日、毎日新聞地方版、群馬県内版の連載の第四回目でございます。
少し御紹介します。

うそでしょうと母は言い放った。兄を訴えたい、許せない、裁判で罪を償ってほしい、そう願ったが、親から反対され、警察には届けなかった。
ナツキさん、仮名は、小学生のころの記憶がほとんどない。五歳上の兄のわいせつ行為が始まったのは小学校に入ってすぐのころだった。
中学一年の冬、学校で警察官による防犯講話が開かれた。警察の言葉に、初めて兄の行為が強姦という犯罪だと知った。
ねえ、何でそんなことするの、その日の夜、思い切って兄に聞いた。返ってきたのは、何となくの一言。何となく。頭が真っ白になった。はらわたが煮えくり返る。私の人生を壊しておいて、何となくって何なの。
翌日、学校のスクールカウンセラーのところに駆け込んだ。すぐに担任教諭と教頭が加わり、家庭に連絡が入った。駆けつけた母親は、娘の顔を見るなりこう言い放った。うそでしょう、お兄ちゃんがそんなことするはずない。親戚宅を経て、県内の児童養護施設に移った。
親族の冠婚葬祭には極力出席しない。兄と顔を合わせたくないからだ。兄は普通に就職し、恋人がいる。あのときの母の心情を思えば、息子を犯罪者にしたくなかったのだろう。でも、納得はできない。

記事をかいつまんで、ストーリーを御紹介しました。この記事では、こうしたきょうだいの加害者、被害者の問題、今回改正項目の中に盛り込まれております十八歳未満の子供に対する監護者の性暴力の罰則が親子の間にとどまる、きょうだいの間、きょうだいというものは含まないということになったという問題提起をされております。
この記事は、このナツキさんという仮名の方が、小学生のころの記憶がほとんどない、五歳上のお兄さんのわいせつ行為だと。そうしますと、お兄さんは中学生ぐらいからそういうことをしていたのかなと推測されるわけです。そういうことを考えますと、先ほど山尾委員が指摘をされました、被害者が幼いときの時効というものをどう考えるかということもこの事例で考えることができるかと思います。

私がきょうこの事例でまず伺いたいのは、きょうだいでそういうことがあったときに、親が事を荒立てたくない、その結果、被害者が大きな傷を負うことがある。このケースは、家族とその後離れて、きょうだいは離れて暮らしておるようですが、場合によっては、きょうだいですから、離れたくても離れられないようなケースもあるかもしれません。私自身、こういったものはそもそも把握や対策というものが難しい、それを承知の上で、一体行政機関においてどういう把握また把握の仕方があるのか、その取り組みについて伺いたいと思います。

一応、通告は法務、文科、厚労とお願いをしているんですが、法務省は何かございますか。なければ、あるところから。では、お願いいたします。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。

きょうだい間で子供に対し性暴力が行われているにもかかわらず、保護者がそれを放置している場合は、児童虐待の一類型であるネグレクトに該当すると考えてございます。(←この答弁には、性暴力被害当事者のいる傍聴席から、不満の声が聞こえた)

ネグレクトの件数は児童相談所における虐待相談対応件数の内容別件数として把握しているところでございますが、きょうだい間の性暴力など、その細目の内訳の件数については現時点では十分な把握ができておりません。

被害者が子供であるきょうだい間の性暴力のうち、児童相談所が関与しているケースについては児童相談所が把握しており、国として性暴力事案についてどのような形で把握することが適当か、児童相談所や関係者の御意見も伺いながら検討していきたいと考えております。(←実態を把握することの難しさを率直に答弁してもらった。ただ、兄弟間の性暴力を親が放置することが、児童虐待のネグレクトという分類である点は大きな疑問)

○神山政府参考人 お答え申し上げます。

特にきょうだい間の性暴力に限定したものではございませんが、性暴力被害者のケアや加害者の更生のための取り組みは大変重要なものであるという認識でございます。
このため、文部科学省におきまして、性暴力被害者のケアにつきましては、まず学校におきまして日常の生徒指導や健康観察などを通じて児童生徒の問題を早期に発見するようにしていますとともに、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの教職員が被害を把握した場合には、児童相談所を初めとする関係機関と連携して対応することとしております。

加害者の更生につきましては、文部科学省として特にこれに直接の取り組みは行っておりませんが、再犯を防止するという観点から、例えば加害者のうち希望する者に対しまして学び直しを支援するためにその機会の提供を行っているところでございます。

今後とも、性暴力被害者のケアに取り組みますとともに、再犯の防止につきましても、関係省庁と連携し、取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。

○井出委員 法務省は、特に何か、もしあれば。なければ、ないでも結構ですが。

○林政府参考人 法務省としましては、きょうだい間の性暴力等について、具体的な事案をどのようにつかむかという観点ではなくて、本法案の立案の過程で、きょうだい間の性暴力についてどのような実態に触れたかということでお答えいたします。

法務省においては、性犯罪の罰則に関する検討会とか法制審議会の議論の参考とするために、地位、関係性を利用した性的行為の起訴事例というものを調査しました。
その中には、実の親子間あるいは養親子間の事案のほかに、きょうだい間、兄妹等の事案についてがございました。兄について、強姦罪や児童福祉法違反の罪で起訴された事例もございました。

また、きょうだい間、兄妹間の性暴力の実態につきましては、法制審議会の部会の中で行われたヒアリングにおきましても、兄と父親による性暴力の被害者であって、近親姦虐待被害当事者のための自助グループの活動をしている方から、兄妹間の性暴力の実態等について御意見をお聞きしたところでございます。
その際、お聞きした方からは次のような意見が述べられておりました。「誰かに気づいて助け出してほしい気持ちと同時に、世間にばれることで自分や家族がその先どうなるか不安で、誰にも怖くて言えなかった。加害者になる前の、大好きであった父や兄が処罰されるということについても抵抗があった。被害者も加害者も社会全体も性被害に遭うことを恥と認識しており、この認識を変えることで被害を訴えやすい社会になると思う。子供は助けを求めたり何らかのサインを発信しているが、それをキャッチしたり安全に介入できるような知識や経験のある人たちにつながらなければ見過ごされ、状態を悪化させ、結果的に諦めてしまう」
こういったような意見が述べられていたところでございます。(←法務省が紹介した当事者の声も、大変考えさせられる内容だった)

○井出委員 このきょうだい間の事案というもの、この新聞の事例ですと、きょうだい間の強姦という話でありますので、れっきとした犯罪であると思います。また、子供同士の、性非行という言葉がふさわしいのかどうかわかりませんが、いろいろなケースも想定されます。

あくまでこれは一般論なんですが、犯罪の被害に遭われた方というのは、加害者に対するきちっと処罰をしてほしいという感情と、それともう一つ、犯罪被害者の思いとして、どうしてそういうことをしたのか、真相究明。当然、犯罪というものは加害者に責任がありますので、謝罪して許されるということではございませんが、謝罪を求められる被害者の方もいらっしゃいます。新聞記事は、このお兄さんは本人から直接聞かれたときに何となくと答えていると。(←きょうだい間の事件や、子供同士の性非行を家族や学校がうやむやにしてしまうと、被害者の真相究明や謝罪を求める気持ちに蓋をしてしまう。また、加害者にとっても、なんとなく許された感が出てしまう。やってしまったことと真摯に向き合い、反省、謝罪する機会もなくなってしまうのではないか。問題が起こっても、こうしたことに、残念ながら、現状では、なかなか立ち入ることができないというのであれば、こうしたことが起こらないように、事前の教育というものが大切であり、次の性教育の質問に)

今、各省からそれぞれ話を伺いまして、私自身もこれは物すごく表面化しにくい類型の話なのかなと思っております。こうしたものをどうしていくべきかということで、一つ、きょうは性教育の話について取り上げたい。

性教育は、男性、女性の身体的な発達の経過を教科書で紹介する。それから、高校生の教科書では例えば結婚生活とか家庭生活とかいったものも紹介されております。
その一方で、ならぬものはならぬ、こういうことをしてはいけないというような記載は余りというかほとんど見当たりませんし、あと、そもそも、私は本会議のときにも申し上げたのですが、男性と女性が初めて性交渉を持つような年代というものもどんどん低年齢化していると言われている。そういうときに一番しっかり教えなければいけないのは、本会議でも触れましたが、やはり両者の同意である。それも、単に興味本位で、うん、いいよという話ではなくて、一体それがどういうことで、どういう結果をもたらすか、それに責任を持てるか。うなずくのも、嫌だと言うのも自分に委ねられている。そういったことも含めて、その内容を理解し、対等性があり、強制性がなく、そういった真の意味での同意というものを教えるべきではないか。

小学生のときからそれを教えるかどうかは大変議論もあるかと思いますが、少なくとも高校生には教えておく必要があると思います。中学生だって場合によっては教える必要が、全ての子に教える必要があるかどうかはわかりませんが、そういうことも検討すべきではないか。そこで、どうしてそういった同意についての記載というものがないのか、その点についてまず伺いたいと思います。

○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づき、「児童生徒が性に関して正しく理解し」、「適切に行動をとれるようにすること」を目的に実施されております。具体的には、体育科、保健体育科、特別活動を初めとして、学校教育活動全体を通じて指導することとしております。また、指導に当たりましては、委員からも今御指摘がありましたとおり、発達段階を踏まえること、あるいは学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることに配慮するとともに、個々の児童生徒間で発達の差異が大きいことから、集団で一律に指導する内容と、個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導する内容を区別して指導することとしています。

こうしたことを踏まえまして、中学校や高等学校の保健体育科の学習指導要領におきましては、成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となることとしており、指導要領の解説において、「自分の行動への責任感」や「異性への尊重」など、性に関する適切な態度や行動の選択が必要となることを理解できるようにしているところであります。
また、御指摘のとおり、直接に同意ということについては明記をしておりませんが、性に関する教育に当たりましては、例えば道徳における、異性の特性の違いをきちんと受けとめ、相手の人格をとうとぶ姿勢を育成すること、あるいは特別活動において、男女相互の理解と協力の指導に関連して、性に関する指導との関連を図った指導を工夫することといったものも行っておりまして、学校教育活動全体を通じた性に関する指導の充実に努めているところでございます。文科省としては、引き続き、こうした点についての指導について努力をしていきたいと思います。以上であります。

○井出委員 今、いろいろお話をいただきました。

少し私からも御紹介をさせていただきますと、例えば中学校の教科書、東京書籍の「新編 新しい保健体育」。ここには「異性の尊重と性情報への対処」という項目がありまして、一時的な感情に流されちゃいけない、自分の気持ちや行動をコントロールして、お互いの心や体を大切にすることが必要ですというような記述があります。これなどはまだ、同意とは書いていないんですが、そう解釈もできなくないかなと。

それから、高校で広く使われていると言われている大修館書店の「現代高等保健体育」。男女の人間関係は、何よりも人間として対等で平等な関係を前提として成り立つ。このあたりは、多少、その後、先生が補足していただけば、そうした同意というものにつながっていくのかなと思うんですが。
いかんせん、高校や中学の学習指導要領を見ますと、お話があったように、相互の理解ですとか、尊重、責任感ですとか、正しく理解する、適切に行動するというものが中学校も高校も至るところに出てくるんですが、男女間の同意であるとか、そういう具体のことは出てこない。正しく理解とか、相互の理解とか、尊重、責任感という言葉で同意というものを読み込め、そういうことなのでしょうか。

○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

委員から御指摘のあった保健体育科を中心にいたします指導においては、性教育の文脈においての異性の尊重という点が学習指導要領の解説で行われており、それを具現化する教科書においても今紹介いただいたような記述があるところでございますが、これに加えて、先ほど申し上げたとおり、特別活動において男女相互の理解と協力の指導という一般論としての指導のところがございますが、ここであえて指導要領の解説においては、性に関する指導との関連を図るようにと。

このことは、道徳科におきます、異性の特性の違いをきちんと受けとめ、相手の人格をとうとぶ姿勢を育成する、ここにつきましてもあえて、保健体育科における性に関する指導との関連を生かした指導の工夫をということで望んでいるところでございまして、保健体育科を中心としつつも、学校におきます性に関する指導は、道徳であったり、特別活動であったり、さまざまな分野の教育活動を通じて全体として行われているところでございます。こうした中で、先生のおっしゃるような趣旨も含めて指導を行っていると考えております。以上であります。(←性教育は保健体育に止まらず、道徳や特別活動でも触れているから大丈夫というような答弁なのだが、保健体育も、道徳も、特別活動も、内容的にはあまり変わらない。そこで、中学の道徳教科書を持ち出して再度質問)

○井出委員 教科書が大変何か抽象的で、前向きと言えばいいかもしれませんが、オブラートに包んだ表現であっても、先生の中にはきちっと説明される方もいるかもしれません。また、いないかもしれませんので、一概に現状の性教育がいいとかだめだとか、そういうことを申し上げることはなかなか難しいと思うんです。

道徳の教科書、たまたま私は三年ぐらい前に文部科学委員会におりましたので、「私たちの道徳」という中学校の教科書、そこにもきちっと「異性を理解し尊重して」という項目があります。好きな異性がいるのは自然のこと、あしたを生きるエネルギーにできたらいいと思う。それは私もそう思います。だけれども、二人だけの殻にこもってしまうと周りが見えなくなって、人間としての幅を狭めてしまうかもしれない。考えてみよう、男女交際のあり方を。あとは何かメモ書きみたいなものがあって、好きに考えてくれ、あとは先生次第というような形です。

子供同士の話がなかなか表面化しにくいということは先ほど申し上げたとおりです。被害に遭うか遭わないかというのはその二人の関係もありますので一概に言えないんですが、やはり断るべきときは断る、断られたときはそれはだめなものだと認識する、そういうことを含めても、やはり性教育のあり方を少し考えていかなければいけない。

もっと言えば、性教育は、小学校も中学校も高校も、まず男性と女性の人体の解説図から始まるわけですね。授業は四十五分、五十分が一こまで、何回やるのかちょっと詳細には存じていませんが。その最後の方にそういう心の部分、それも、尊重するとか、相互に理解するとか。よく歴史の授業が最後まで行かないじゃないかというようなことを従前から言われておりますが、果たして、心の男女間の尊重ですとか平等ですとか、そういうところまで指導が行っているのかというところも大変疑問です。

今回の法改正は、先ほど山尾委員もおっしゃいましたし、私も午前中申し上げましたが、法律の改正だけで全てが解決する問題では到底ございません。子供間の問題は、厚労省、文科省、法務省にお聞きしましたが、全部すぐに一〇〇%行政がきちっと対応することがかなり難しい問題であるということはおわかりいただけたかと思います。

必要なのは、性犯罪に対する理解というものを今回の法案審議をきっかけに世の中に問題提起したい。それにはやはり当事者がここでしゃべっていただくことも私は必要だったと思います。性教育については、本会議でも申し上げましたが、今回の法改正を高校だったらストレートに法改正があったと教えてもいいかもしれませんし、それは伝え方はあるかと思いますが、今回の法改正の趣旨、それは世の中のいろいろな声があって、百十年間の積み重ね、遅きに失したと思いますが、ここに至っているわけですから、このことをぜひ教育の分野できちっと周知していただく。

周知の仕方は私の方からきちっとは求めませんが、文科省の方で検討されて、やはり年齢の高いところから考えていくとしても、高校、中学あたりにはこのことをきちっと、通知、通達というものを出していただきたいと改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。(←今回の法改正を、性暴力などについて社会全体で考える機会とするべきというのは、この法案の質疑を準備する中でずっと思ってきた、強い思い)

○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。今回の改正法にかかわりまして、その内容の周知、あるいはその中でとりわけ児童生徒としても理解しておくべき点、ないしは教職員がきちんと理解しておくべき点、例えば、性暴力に遭った高校生や中学生が当然い得るわけですから、そういう点で教職員はより深くきちんと理解しておく必要があるのだろうと思っておりますので、今御提案のございました通達、通知を発出することの検討を含めまして、文科省としては引き続き学校における性に関する指導の充実に努めてまいりたい
と考えております。

○井出委員 刑法の改正という長年なかったことの契機でございますので、何としても通知、通達というものを強く検討を求めたいと思います。(←本当は性教育について、法改正の付帯決議か何かに、私の趣旨を明文化したかったが、性教育については、特に自民党では議論がタブーというか、大変な困難が予想され、到底同意には至らないということで、やむなく、質疑の中で直接政府見解を正すのみに留めた。答弁は、一定の評価ができるものだった)

次の話題に行きたいと思います。
きょう採決が予定されておりますが、昨日、少しその修正というものを御提案、協議をさせていただきました。また、修正に至らなかったところについては、附帯決議というものも各党間で御相談をさせていただきました。後ほど提案をさせていただきます。

そのことを前提に少しお話をしたいのですが、今回、大変さまざまな御意見、ここを改正してほしい、ここを改正してほしい、見直し規定は入れてほしい、こういうものは附帯決議に入れてほしいというような御意見をいただいております。その中で、やはり今回の改正にとどまらず、落ちた論点もございますので、見直し規定を入れてほしいというお話がありました。

そこで、この法改正をきっかけに、この法律案の附則に、三年後を目途として、性犯罪における被害の実情、法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加しよう、そういう修正を考えております。

今、早口で言って、何を言っているかわからないということになってしまってはいけないので、御提案させていただいた趣旨をここで明確にしておきます。

この見直し規定の趣旨は、性犯罪に対処するための施策の全体的なものを、この法律が施行されてから政府に対し検討を求めていくものだ。その施策全般とは一体何か。事案の実態に即した対処を行うための施策として、一つは処罰規定の整備、議論のありました構成要件の見直し、監護者わいせつ罪の主体の拡大、性交同意年齢の引き上げ、暴行、脅迫要件の緩和など、今回、法制審、その前の検討会からいろいろな御意見があった中で成案が得られなかったものについて引き続き議論をしていただきたい。それから、公訴時効の停止というものも引き続き議論をしていただくべきだと思いますし、法律のみならず、性犯罪被害者の支援策、これまでの質問の中に出てまいりましたワンストップセンター、司法面接、与党の先生からもお話がありました二次被害をなくすように、いわゆるレイプシールドといった考え方。そういうあらゆる施策を引き続き検討していくという趣旨を込めて、今回この修正案を御提案させていただいております。当然、刑事局長、大臣におかれましてはその趣旨を御理解いただいていると思いますが、改めて今申し上げたことについて答弁をいただきたいと思います。

○林政府参考人 今回の法務省としての本法案の提出に当たりましては、これまで申し上げましたように、検討会あるいは法制審議会の過程でかなりさまざまな御意見というものを伺って検討してまいりました。その中で、やはり今回法改正に至ったものと至らなかった論点というものがございますけれども、いずれにしましても、問題の所在あるいは改正の方向というようなものについては、真摯にそれを受けとめて検討してきたものでございます。ある意味改正の方向性のベクトルについては基本的に同じような立場に立ちながら、さらにどこまでそれを実現するかというような形で、今回一応の結論を出させていただいたわけでございます。

そういった意味におきましては、本法案の内容につきまして、さらにこの施行状況を検討して、もう一度その制度について見直しをするということについては、十分に真摯に受けとめて、適切な検討を行っていきたいと考えております。

○金田国務大臣 ただいま井出委員からお話がございました。

私どもの刑事局長から申し上げたとおりでありますが、今回の法案の提出に当たりましては、さまざまな観点からの御要望や御意見をお出しいただき、それを踏まえて、法制審議会での審議も経て、十分に検討を行ってきたものとは認識をいたしております。

しかしながら、本法案の内容がそれで十分で、さらに課題となるものはないのかという話になりますと、その後もさまざまな指摘をいただいているとおりであります。したがって、今後また引き続いて、修正の趣旨やあるいは附帯決議の趣旨というものを踏まえながら、そして必要な議論をいただいたことを踏まえながら検討を続けていくということになるんだろう、こういうふうに考えております。(←政府案に、3年後の見直し規定を追加する修正案を提案したが、検討の中身を質疑で具体化しておこうとした質問。大臣は答弁で、「法案の内容が十分で課題がないかというと、その後も様々な指摘をいただいている」と今後の見直しの必要性を率直に認める)

○井出委員 この見直し規定を御提案させていただくに当たりまして、刑法の見直しを断続的にやっていくということが刑法の法律の安定性から見てどうか、そういう御意見もありまして、私も昨晩、質問をつくりながら考えました。

しかし、大臣、聞いていただきたいんですが、きょうの冒頭の質疑で、旧刑法から刑法をつくるまで、強姦の構成要件に暴行、脅迫という文言は最初は旧刑法にはなかった、それからそれが出てきた、準強姦ができた、そして、準強姦と強姦が一体となった文案が検討された時期も明治三十三年にありました。そういう紆余曲折を経て現行の刑法の構成要件というものができております。

ですから、刑法を、百十年ぶりの改正ですから、これは物すごく歴史的な改正で、これは一回変えたら百年、二百年にわたって普遍的なものでなければいけないというようなことも最初は頭をかすめておりましたが、旧刑法から刑法に至るまでのいきさつを見ますれば、やはり適宜適切なものを追求していくというための検討というものは当然できるべきだし、過去の歴史においてはそれをやっていますので、そのことについてはぜひお願いしたいと思います。
答弁いただいてもいいですか、もう一回。さっきいただいたんですけれども。

○金田国務大臣 井出委員のただいまの御指摘に対しましては先ほど申し上げたとおりでありますし、ただいまおっしゃっていることも私は理解しているつもりであります。

○井出委員 それからもう一つ。
附帯決議も幾つかお願いをさせていただくことを予定しておりますが、大方、今回は与党の先生方から御提案いただきまして、その中身も深く御検討いただいたものと評価をさせていただいております。

その中で、「事件の、性犯罪の起訴、不起訴の処分を行うに当たって、被害者の心情に配慮するとともに、必要に応じてその処分の理由等について丁寧な説明に努める」、被害者の側に立って説明責任をしていこう、そういう趣旨のものも提案を予定しておるのですが、先日私が本会議で国家公安委員長に尋ねた件について、きょうは政府参考人ですが、伺いたいと思います。(←本会議で取り上げた、ある事件。本会議の国家公安委員長の答弁があまりにもひどかったので、その答弁の酷さを質そうと、以下の質問に)

国家公安委員会の役割というものは、私が承知しておりますところ、警察行政の政治的中立性の確保、警察運営の独善化の防止。この警察運営の独善化の防止について、具体的に国家公安委員会というものはどのような取り組みをされているのか、教えてください。

○髙木政府参考人 国家公安委員会は、国民の良識を代表する民主的管理機関としまして、警察行政の民主的運営と政治的中立性を確保するために警察庁を管理するという役割を担っております。

具体的には、国家公安委員会は大綱方針を定めまして、警察庁はそれに即して事務を行うということとされておりまして、各種の報告等を受けた上で大綱方針を定める、こういった活動をしているところでございます。(←大綱は、警察からの各種、報告によってできるというのがポイント)

○井出委員 国家公安委員会と、また都道府県単位でもそれに準ずる組織があるかと思いますが、大綱を定めて、恐らく全国の警察が均一にと申しますか適正に仕事ができるようにという観点かと思いますが、警察に対して指導をしたり、調査をしたり。国家公安委員会というものは、今おっしゃったように警察から離れた有識的な方がなられると思いますが、その有識者、第三者的な立場を発揮して調査、指導をするというような業務はあるのか、教えてください。

○髙木政府参考人 国家公安委員会ないし都道府県公安委員会は、それぞれ、国家公安委員会については警察庁、都道府県公安委員会については都道府県警察でございますけれども、そういった警察の執行組織を管理する機関ということでございまして、所要の報告等を警察機関から申し上げますし、国家公安委員会ないし都道府県公安委員会からは、必要な報告を求めて、その上で管理を行う、そういった業務を行っているところでございます。(←公安委員会は警察を管理しているが、ここも警察からの報告が主な業務というのがポイント)

○井出委員 報告を求めるというお話がございました。

六月二日の国家公安委員長の答弁、私がある事件について尋ねたものでございますが、その事件について「告訴を受理し、法と証拠に基づき必要な捜査を遂げた上で、関係書類及び証拠物を東京地方検察庁に送付したものであり、また、送付を受けた検察庁においても必要な捜査が行われたものと承知しています」と。

この「承知」というものは、報告を受けたのであって、必要な捜査を遂げたものを国家公安委員会がみずからお調べになって認識したということではございません、そういうことでよろしいですか。

○髙木政府参考人 お尋ねの件につきましては、警察庁から国家公安委員会委員長に対しまして国会で御答弁申し上げるに際しまして事案の概要等を報告申し上げた、こういった趣旨でございます。

○井出委員 報告があったと。

その後、警視庁において、必要な捜査が尽くされ、また、検察庁で不起訴処分となっていることなども踏まえ、検証を行うことは考えておりませんと。この必要な捜査が尽くされたという点は、警視庁、警察庁の報告をもとに必要な捜査が尽くされていると認識されているのか。それでよろしいですか。

○髙木政府参考人 お尋ねの件につきましては、警視庁におきまして、告訴を受理し、法と証拠に基づいて必要な捜査を遂げた上で、関係書類及び証拠物を東京地方検察庁に送付したものでありまして、また、送付を受けた検察庁においても必要な捜査が行われたものというふうに承知しておりますが、そのような旨、警視庁から警察庁に対しまして報告をいただき、警察庁から国家公安委員会委員長にも報告を申し上げた、こういったことでございます。(←私からの本会議質問に応えるために、事件の報告を受けたと。それも、「必要な捜査を遂げた」「必要な捜査が行われた」というのは全て警察からの報告であり、国家公安委員長が主体的に認定したものではない。要は、報告を受けるだけ)

○井出委員 全て警察庁、警視庁からの報告ベースであると。それから、最後に、「そうしたことを踏まえ、検証を行うことは考えておりません」と。そもそも国家公安委員会は、あと都道府県の公安委員会は、個別の事件について検証を行う権限があるのかないのか、伺いたいと思います。

○髙木政府参考人 検証の権限ということになるといろいろな場合があると思いますので、一概に申し上げることは難しいところでございますけれども、基本的な制度の仕組みといたしましては、公安委員会は、大綱方針を定めて警察機関を管理する、こういった役割を担っているものというふうに認識しております。

○井出委員 基本的には報告を受けることが主な業務であって、この事件を離れて、これまで、例えば冤罪事件ですとかいろいろな事件について検証といったものが捜査機関において行われてきた、それは検察庁であったり、警察庁であったり、各都道府県警であったりもするかと思うんですが、国家公安委員会がそういう検証をしたというものは私は聞いたことがございませんし、そういうことは恐らくされていないから今のような少しまろやかな答弁になっているのかなと思います。

そうしますと、検証を行うことを考えておりませんというのは、検証する必要があるなし以前にそもそも国家公安委員会は検証する立場にない、そういうことをこの答弁でおっしゃったんじゃないですか。

○髙木政府参考人 警察庁の方からの報告を受けて、国家公安委員会委員長としてもそのように御判断された、こういったことかと考えております。(←国家公安委員長としてもそのようにご判断されたというが、単に報告を追認しただけ。ここはさらに問い詰めた方が良かったかも)

○井出委員 先ほど冒頭に申し上げましたが、警察運営の独善化の防止でありますとか、その下へ行けば、警察庁の民主的な管理ですとか、そういったことも役割として入っているようではございますが、その実態、事実上というところはきょうの御答弁のとおりなのではないかと思います。(←公安委員会には、警察の業務を独自で調べる権限はない。これでどうやって、警察行政の政治的中立性の確保、警察運営の独善化の防止を果たすことができるのか)

この事件は、私は細かく踏み込んで取り上げてはおりませんが、少なくとも検察審査会への申し立てがされている、それは、本会議でも申し上げましたが、公正な捜査を尽くしてほしいと。被害を訴える方からすれば当然の心理である。

検察審査会について伺いますが、検察審査会というものは、私の理解ですと、最初になされた捜査、不起訴となった捜査の中身をもう一度調べるところであって、捜査のプロセスとか公正さとか、誰がどう判断したとか、そういうものを調べるところではないと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○林政府参考人 検察審査会制度は、一般の国民の中から無作為に抽出して選任された十一名で構成される検察審査会が検察官の不起訴処分の当否を審査することを通じて、検察官が行う公訴権の実行に民意すなわち一般国民の感覚を反映させてその適正を図ることを目的としているわけでございます。

その審査の対象というのは検察官の不起訴処分の当否でございまして、その審査に必要な部分について検察審査会が審議、検討を行うということになると思います。

○井出委員 当否というのは私が申し上げたようにやはり証拠関係ですとか事件の中身そのものの検討だと思いますが、では、捜査の体制がどうだったとか、誰がどう判断したとかというのも、当否に影響するようであれば検察審査会も当然調べるということですか。

○林政府参考人 検察官の不起訴処分というものは、証拠関係がどのようになっていたのか、それについてその検察官の不起訴処分が当を得たものであったかどうかを審査するわけでございまして、そういった場合に、証拠の収集過程とかいったことが検察官の不起訴処分の当否を審査することに影響があるのであれば、そういったことについては検討されることとなります。ということで、やはり、不起訴処分の当否を審査するに必要な範囲で審議し、検討されるということだと考えます。

○井出委員 不起訴処分の当否を判断する上で、捜査の判断のいきさつとか体制とか、そういうものも必要であれば検討の対象になり得るか、そこが必要かどうかはやってみなきゃわからぬということだと思います。でも、きょうは恐らくそういうものは検察審査会の対象には一〇〇%なり得ないと思って質問に立っておりましたので、その可能性がわずかでもあるのであれば、国家公安委員会、警察の方でこの検証をするつもりがないというお話があることは大変遺憾ですが、まだ検察審査会の状況を見守りたいと思います。(←ここは、答弁を読み返してみると完全にゼロ回答。質疑直後は、多少の含みがある答弁に聞こえたが、やはり検察審査会は、事件の中身を再調査し、捜査のあり方を調べるものではない。そうなると、公安委員会は完全に頼りにならないし、警察が検証する以外にないのだが、検証はしない。おそらく、この事件が不起訴不当と検察審査会から言われて起訴されて、裁判が開かれない限りは、真相が解明されることはないだろう。検察審査会の事件に対する結論が待たれる)

それと、本会議でもこれは触れさせていただきました。あと、先ほど二次被害という話も午前からございました。性犯罪の被害を訴えられる方。まさに今回のように、事件の中身というものは、いろいろ報道されておりますが、検察審査会に付されておりますので私は申し上げませんが、ただ、被害を訴えられている方がいる。これは今回の事件に限らずいらっしゃると思います。そうした方に対する例えば容姿ですとか過去の経歴ですとかいったことに対する批判というもの、私は本会議でも、そういうことはやはりあってはならないし、支援というものは社会を挙げて取り組むべきだと申し上げました。

恐らくその答弁を人権局長がしていただくということでよろしいんでしょうか。済みません、参考人はいつも一任しておりますので。そうであれば、人権局長から答弁を求めたいと思います。

○萩本政府参考人 個別の事案を離れて、あくまで人権擁護の観点から一般論として申し上げることになりますけれども、犯罪被害者は、性犯罪に限りませんけれども、犯罪そのものが人権侵害の最たるものの一つということになりますし、その被害あるいはその被害の後遺症で苦しんでいるところに追い打ちをかけるように、今委員御指摘のとおり、二次的な被害による重大な人権問題が現に起きているという認識でおります。ですから、そのような人権問題にもしっかり対処していかなければいけないという認識でおります。
○井出委員 一般論でお話をいただきまして、冒頭に、「報道等を承知しておりますが」と言ってくれればなおよかったのですが、そこまではきょうは求めません。(←性被害を公で訴えた人が、被害内容の真偽ではなく、容姿など、事件と無関係の批判を受ける社会というものを正すことができなければ、性犯罪の被害が訴えにくい状況や、「やられたあなたが悪い」というような、強姦神話と呼ばれる偏見は無くならない。そうした偏見を無くすべきだというのが、今回の法改正に向けて活動してきた被害当事者たちの切なる願い)

もう間もなく時間になると思いますので、このまま審議が終わってしまうのは大変残念ではございますが、また、修正案が見直し規定にとどまったというところも、私自身は大変力不足を実感しております。

この法務委員会は共謀罪等いろいろございまして、私も法務委員会で今まで三年ほどやってきた中でいろいろな紆余曲折がありました。私自身も、例えば強行採決でまさか委員長の横に行くなんということは思ってもおりませんでした。度が過ぎたなと反省しなければいけないところもあるかと思います。

しかし、きょうの性犯罪の、性に対する理解というところで、道徳の中学生の教科書を読んでおりましたら、フランスの啓蒙思想家ボルテールの言葉がございました。
「互いの知識を持ち寄り、互いに許し合わなければならない、たった一人の者が見解を異にしたとしても、この者を大目に見なければならない」

その下に、アンドレ・ジッド、フランスの小説家の言葉。
「一つの立場を選んではならぬ、一つの思想を選んではならぬ、選べば君はその視座からしか人生を眺められなくなる」

私も反省するべきところはあるということはさきに申し上げました。これからの法務委員会の運営、国会の運営にこの言葉を一言添えまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

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先週金曜日、本会議質問と答弁全文。ニュースになったところの思いは先に投稿したので、今回は解説なしで全文、長文ですが、読んでいただけると幸いです。

ニュースになっていない部分も、思いが詰まっています。↓

平成29年6月2日 衆議院本会議速記録

刑法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。井出庸生君。
〔井出庸生君登壇〕
○井出庸生君 民進党、信州長野の井出庸生です。
ただいま議題となりました性犯罪規定について刑法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問させていただきます。(拍手)
冒頭、先日の共謀罪の強行採決に断固抗議をいたします。
性犯罪の罰則等については、平成十六年、第百六十一回国会で、衆参両院の法務委員会の附帯決議の中で、性的自由の侵害に係る罰則のあり方について、さらなる検討が求められました。また、
平成二十二年十二月には、第三次男女共同参画基本計画が閣議決定をされ、強姦罪の非親告罪化、性交同意年齢の引き上げ、構成要件の見直し等を検討することとされました。
さらに、本法案が法制審で議論されていた昨年から、性暴力の被害当事者の方々が、当事者の声を聞いてほしいと今日まで活動をされてきました。長い活動の御労苦に深く感謝を申し上げます。
本法案の議論は、苦しみの中から声を上げられた方、さらに、声を上げることができなかった多くの方々、御家族、被害者に寄り添い、支援に当たってこられた関係者の方々の努力の結実です。
その本法案審議よりも共謀罪を先行させた政府・与党に強く抗議をするとともに、私は、当事者の声を受けとめ、本法案に一層の改善を求めてまいります。
フランスの学者ジョルジュ・ヴィガレロの書いた「強姦の歴史」という本には、画期的と評される一九七八年の強姦裁判、エクスの裁判に関する言葉として、被害者が、強姦、それは破壊でした、私たちそのものを破壊することでしたと、被害者の弁護人は、強姦の日から、彼女たちは内面に入り込んで離れない死を抱えて生きなければならないのですと、それぞれ述べていた旨書かれています。強姦が魂の殺人と言われるゆえんです。
強姦罪は、制定当時、家父長制度を前提とし、夫に従属する妻の保護を目的としたと言われています。戦後、この価値観は否定され、判例、通説では、強姦罪の保護法益は性的自由の侵害とされています。
今回の法改正で、強姦罪の構成要件から女子を姦淫したとの規定が削除され、被害者の性別を問わないこととした点や、強姦罪の処罰対象となる行為を拡張した点は、実態に即したものと言えま
す。しかし、被害者が性交と同程度の深刻な被害を負ったとしても、男性の性器ではない、指や異物の膣、肛門への挿入行為は、強姦罪改め強制性交等罪になっても規定はされませんでした。
そこで、強制性交等罪の保護法益は何か、伺います。
本法案の保護法益は、性的自由のみにとどまるのか。それとも、先ほど提案理由説明で言及をされた、被害者の人格や尊厳、心身を守ることも保護法益とするのか、端的に答弁を求めます。
被害者の立場に立てば、指や異物を膣、肛門へ挿入される行為は、性的な侵襲があったという点で、深い傷を負う強姦と変わりません。被害者の人格や尊厳、心身を守ることも保護法益とするのであれば、これらの行為も強制性交等罪とするべきとの立論も十分考えられますが、見解を求めます。
本改正案においても、強制性交等罪は、暴行または脅迫が要件となっています。強姦は不同意だけでは成立をせず、被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行または脅迫を用いることが要
件とされるこれまでの考え方が維持されてきました。
十四歳の女の子が恐怖の余り抵抗ができなかったことをもって、暴行、脅迫要件を満たさず、強姦罪が成立しないとの判例があります。恐怖で身がすくむ、殺されるかもしれないと思って抵抗で
きない、これは被害者に起こる普通の反応です。恐怖の余りフリーズをする、あるいは解離症状が起きる、こうした反応と、強姦罪の構成要件に暴行、脅迫要件を課すことの合理性についてどのようにお考えですか。
現行刑法は、百七十七条で強姦罪、百七十八条第二項で準強姦罪を規定しています。強姦と準強姦の違いは構成要件です。強姦は暴行、脅迫、準強姦は心神喪失もしくは抗拒不能に乗じる、また
はそうした状態にさせることが構成要件です。
しかし、強姦と準強姦の法定刑は同じです。強姦も準強姦も、ともに強姦です。強姦と準強姦を一つにして、暴行、脅迫を抗拒不能、心神喪失に陥らす行為の例示とし、強制性交等罪、準強制性
交等罪の新たな構成要件として、抗拒不能を中心に一本化した規定をすることは十分検討に値すると提案をしますが、見解を求めます。
十三歳と規定をされている性交同意年齢の引き上げについては、本法改正には盛り込まれておりません。問題としたいのは、同意とは何かということです。
臨床心理士の藤岡淳子さんの本「性暴力の理解と治療教育」には、真の同意に必要な六つの要件が挙げられています。
一つ、同意とは、年齢、成熟、発達レベル、経験に基づいて、指示された何らかの性行為が何であるかを理解していること。
二つ、提示されたことへの反応について社会的な標準を知っていること。
三つ、生じ得る結果や他の選択肢を認識していること。
四つ、同意するのもしないのも同様に尊重されるという前提があること。
五つ、自発的決定であること。
六つ、精神的、知的な能力があること。まとめますと、同意する内容を理解し、対等性があり、強制性がないという条件がそろっ
て初めて真の同意と言えます。
性交同意年齢は、女性の身体的成長時期などから十三歳と定められたと聞いていますが、十三歳が、さきの六要件を満たす同意が可能と考えるかどうか、見解を求めます。
同意に関連して、性教育は十分と言えるのか。私は、小、中、高校で、それぞれで広く使用されている教科書の性教育について文部科学省から説明を受けました。教科書には、主に男女の身体的
特徴の観点からの記載があります。また、中学、高校では、お互いの理解、尊重についても多少の記述があります。
性交年齢が低年齢化していると言われる中、本法案の改正を機に、同意や、相手を尊重することなど、男女間の心の部分について、性教育で一層取り組むよう通達を出すことが、性犯罪、性暴力、性非行を少しでも減らすことにつながると考えます。通達を御検討いただけますでしょうか。
本改正案では、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪が新設されます。本人からの被害申告や暴行、脅迫要件を満たさなくても、現に監護する者による性的虐待に対して刑事罰を問うことができ
ます。
現に監護する者の典型例として、実親や養親等が挙げられるとのことですが、先ほどの真の同意の観点から考えますと、子供は生活の全てを親に依存する存在です。対等性はなく、強制性があり、それらの行為について真の同意は考えられない関係です。本改正案には「影響力があることに乗じて」と規定がありますが、内縁も含めて、親であれば、その立場をもって影響力があることに乗じてと解釈をし、他の要素を必要としないと考えてもよろしいでしょうか。
さらに、教師による、被害生徒等の意思に反した性交等も、逆らうこと自体が被害者の生活基盤を失うおそれがある場合にはこの規定が適用される可能性はありますか。
幼いころの近親者による性的虐待は、生涯にわたり大きな影響を与えます。現行法では、強姦罪の公訴時効期間は十年、強制わいせつ罪は七年ですが、未成年への強姦行為等については、成人し
た後に被害を認識できるようになる可能性もあります。時効を延ばすことについては、証拠の散逸等から否定的な考えもありますが、児童ポルノ被害の深刻化などに鑑みれば、被害者が成人もしくは自立してからでも被害申告ができるように、未成年者を対象に、時効を一定年数停止することも重要な検討事項と考えますが、見解を伺います。
全く根拠のない、強姦神話と呼ばれるものがあります。例えば、強姦の加害者のほとんどは見知らぬ人であるという話です。しかし、平成二十六年の強姦の検挙件数に占める被害者と面識がある
容疑者の割合は五〇・九%となっています。

先月二十九日、東京霞が関の司法記者クラブで一人の女性が記者会見をしました。報道によりますと、女性は知り合いの著名なジャーナリストから性暴力を受け、警察が準強姦容疑で捜査をした
ものの不起訴となったため、不起訴処分を不服として検察審査会へ審査を申し立てたということです。
この事件を最初に提起した週刊新潮によると、著名なジャーナリストには準強姦容疑で逮捕状が出たものの逮捕に至らず、警視庁の当時の刑事部長が、私が決裁した、自分として判断した覚えが
あるなどと週刊誌の直接取材に答えています。管轄の警察署を超えて警視庁幹部が判断をすることには元警察関係者からも疑問の声が上がっています。不起訴となっているこの事件は、警視庁の刑事部長が判断を下す特別な捜査本部体制が最初からしかれていたのでしょうか。国家公安委員長に答弁を求めます。

検察審査会への審査の申し立ては、公正な捜査を尽くしてほしいという願いにほかなりません。

被害者にとって、性暴力が犯罪であるかどうかは、被害者の回復に大きな影響を与えると言われています。有罪になれば、自分が悪いのではなくて加害者に責任があると、より明確に思うことが
でき、また、不十分ながらも公的サポートを受けることができます。刑事や検察官が頑張っている姿に力をもらえると、性暴力と刑法を考える当事者の会代表山本潤さんは著書の中でこのように述べています。
会見を開いた女性には、励ましの声がある一方、会見時の服装など、事件と無関係の批判も見られます。性暴力や性犯罪の被害者への支援は社会を挙げて取り組むべきものです。
国家公安委員長には、この事件について、捜査のいきさつを検証し、説明する責任がございます。個別の案件にはコメントを控えるという答弁では、これまでの捜査の公正さを証明することはできません。国家公安委員長に、事実関係の確認と捜査のいきさつを検証する意思はあるか、答弁を求めます。

本法案では、強姦罪等が非親告罪となりました。被害者のプライバシーをどのように守るのか、答弁を求めます。
また、幼い子供の性犯罪被害、虐待事案の際に、子供の負担にならないようにしつつ、正確な供述を得ていくための司法面接の導入の必要性について見解を伺います。
性犯罪には、厳正な処罰と被害者への適切な支援が必要です。被害者支援のためのワンストップ支援センター設置を強力に推進する法案を、昨年、五野党で共同提案いたしました。本法案とともに、この性暴力被害者支援法案もセットで成立をさせていただき、両輪で被害者を支えるべきと考えますが、見解を伺います。

性暴力被害の当事者として、多くの困難を乗り越えてこられ、また被害者支援にも取り組んできた山本潤さんは、被害者が認められていない社会の実態について、次のように述べております。

彼らは知らないだけなのだ、そのような恐怖を感じる世界があることを想像もできないだけなのだと。

この言葉と真摯に向き合って、性暴力、性犯罪が少しでもなくなるよう、本法案にとどまらず、教育、被害者支援など、多岐にわたって論点を深めてまいります。
以上で質問を終わります。(拍手)

〔国務大臣金田勝年君登壇〕
○国務大臣(金田勝年君) 井出庸生議員にお答えを申し上げます。
まず、強制性交等罪の保護法益についてお尋ねがありました。
強姦罪の保護法益については、一般に、性的自由または性的自己決定権と解されていると承知をしており、強制性交等罪の保護法益についても同様と考えております。
強制性交等罪などの性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害するものであると認識をしております。もっとも、刑法上の罪の保護法益は、一定程度具体化された利益として把握されていると
考えられます。そして、被害者の人格や尊厳を侵す犯罪は性犯罪に限られないことからも、人格や尊厳を性犯罪の保護法益とするのは抽象的に過ぎると考えられます。
次に、強制性交等罪の処罰対象となる行為の範囲についてお尋ねがありました。
ただいま答弁しましたように、強制性交等罪の保護法益は、性的自由または性的自己決定権であると考えております。
膣や肛門への異物等の挿入行為については、異物にもさまざまなものがあり、その被害の重大性が一律に性交等と同等とまでは言いがたいことから、強制性交等罪の処罰対象とはしておりません。
なお、御指摘の行為に対しては、強制わいせつ罪等により、事案の実態に即した対処がなされるべきであると考えております。
次に、暴行または脅迫を強制性交等罪の構成要件とすることの合理性についてお尋ねがありました。
強姦罪における暴行または脅迫は、その保護法益である性的自由または性的自己決定権を侵害する行為であることを示す客観的な要件であり、その程度は、反抗を著しく困難ならしめる程度のも
のであれば足りると解されております。具体的には、被害者の年齢、精神状態のほか、行為の場所の状況、時間等諸般の事情を考慮し、御指摘のように、被害者が恐怖感から抵抗できない場合においても、事案に即した適切な判断がなされているものと考えております。このような客観的な要件を定めていることには合理性があると考えております。
次に、現行法の強姦と準強姦を一本化すべきではないかとのお尋ねがありました。現行法における強姦罪と準強姦罪との区別は適
切に機能しているものと考えられますので、直ちに御指摘のような改正が必要とは考えておりません。
次に、十三歳の者が性交に同意することが可能であるかについてお尋ねがありました。
十三歳の者の心身の発育の程度には個人差があると思われますが、現行刑法は、十三歳未満の者については、暴行、脅迫がなくても一律に、同意の有無を問わず強姦罪が成立するとしているものであります。
この年齢を引き上げることは、若年者の性的自由を過度に制約する側面がある一方、未成熟な児童については児童福祉法や条例により保護が図られていることなどを考慮し、今回の改正案では、
この年齢の引き上げを行うこととはしておりません。
次に、監護者性交等罪における要件の認定に関するお尋ねがありました。
監護者性交等罪は、行為者が十八歳未満の者を現に監護する者であることが要件であります。その上で、十八歳未満の者を現に監護する者であれば、一般に、その十八歳未満の者に対して、監護
する者であることによる影響力があるものと考えており、その影響力を及ぼしている状態で性交等をすれば、監護者が影響力があることに乗じていると言えると考えております。
次に、教師に対し監護者性交等罪が成立する場合があるかとのお尋ねがありました。
監護者性交等罪の、現に監護する者に当たるか否かは、個別の事案における具体的な事実関係により判断されるものでありますが、一般的には、現に生活全般にわたって依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められることが必要であると考えております。
その上で、一般論として申し上げれば、教師については、通常は、生徒との間に生活全般にわたる依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められないことから、現に監護する者に当たらない場合が多いものと考えられます。
次に、未成年者を被害者とする性犯罪の公訴時効を停止する制度の導入についてお尋ねがありました。
時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和という公訴時効制度の趣旨等に鑑みますと、未成年者を被害者とする性犯罪についての公訴時効を停止する制度を設
けることについては、慎重な検討を要するものと考えております。
次に、性犯罪が非親告罪化された場合における犯罪被害者の保護のための方策についてお尋ねがありました。
強姦罪等を非親告罪としても、事件の処分等に当たっては被害者の心情に適切な配慮がなされるものと考えており、また、公判等の刑事手続においては、ビデオリンク方式による証人尋問等の被
害者のプライバシーを保護するための方策が活用されることとなると考えております。
次に、司法面接の導入についてお尋ねがありました。
現行法のもとでも、例えば、被害児童の事情聴取に際し、児童相談所、警察及び検察の三者において協議を実施し、いずれかが代表して、司法面接の手法を活用した聴取を行う取り組みを積極的
に進めており、引き続きこのような取り組みを進めてまいります。
最後に、性暴力被害者の支援に関する法律案をあわせて成立させるべきではないかとのお尋ねがありました。
性暴力被害者支援に関する法律案は、議員提案により既に本院に提出されているものと承知をいたしております。国会における法案審議のあり方につきましては、国会においてお決めいただく事
柄であり、法務大臣として申し上げるべきことではないと考えております。
いずれにせよ、政府として、引き続き性犯罪被害者支援のための取り組みを進めることは重要であると考えております。(拍手)

〔国務大臣松野博一君登壇〕
○国務大臣(松野博一君) 井出議員から一つ御質問がございました。
同意や相手を尊重することなど、男女間の心の部分について、性教育で一層取り組むよう通達を出すことを検討していただけないかとのお尋ねでございますが、性に関する適切な態度や行動の選
択について理解するためには、学校における性に関する指導は重要であると認識をしています。
これまで、文部科学省では、学校における性に関する指導が適切に実施されるよう、教職員を対象とした研修会の実施、各地域における学校保健に関する課題解決に向けた取り組みに対する財政
支援等を行ってきたところです。
文部科学省としては、引き続き、御提案の通達を発出することの検討も含め、学校における性に関する指導の充実に努めてまいります。(拍手)

〔国務大臣松本純君登壇〕
○国務大臣(松本純君) 警視庁において捜査した刑事告訴事件に関する捜査体制についてお尋ねがありました。
まず、警察署が行っている捜査に関して、警察本部が適正捜査の観点から指導等を行うのは通常のことであり、お尋ねのような特別な捜査本部体制がなければ指導等ができないものではありませ
ん。
特に、専門性の高い性犯罪の捜査に関しましては、その適正確保等のため、全ての都道府県の警察本部に専門の指導官が置かれ、平素から警察署の捜査幹部への指導等に当たっているところであ
ります。
次に、同告訴事件に関する事実関係の確認及び検証についてお尋ねがありました。
お尋ねの事件の事実関係については、警視庁において、告訴を受理し、法と証拠に基づき必要な捜査を遂げた上で、関係書類及び証拠物を東京地方検察庁に送付したものであり、また、送付を受
けた検察庁においても必要な捜査が行われたものと承知しています。
警視庁において、必要な捜査が尽くされ、また、検察庁で不起訴処分となっていることなども踏まえ、検証を行うことは考えておりません。(拍手)

金田大臣に辞職を求めるスタンスは変わらないが、昨日の法務委員会では、共謀罪について大きな視点から、特に、日本で罪刑法定主義がいかに大切にされてきたのかについて問題提起をした。

多様化する社会の中でいつの時代も刑罰の増加というものが叫ばれ、そうした要請に対し個別の目的に応じた立法措置を行うことで、刑法の謙抑主義を守ってきた歴史がある。今回、共謀罪を277もの犯罪に対象を広げることは、刑法の大きな転換点である。そのことを少しでも感じていただけたら幸いだ。

質問を議事録で振り返る。45分間だったので長文。以前やった解説と同じように、()は私の解説、感想である。

平成29年3月7日衆議院法務委員会
○鈴木委員長 次に、井出庸生君。

○井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。私も、二月の予算委員会で大臣に辞職を求めました。その後、衆参の予算委員会をずっと拝聴してまいりましたが、残念ながら、大臣たる答弁をいただいているとは、いまだ現時点ではそう感じることができず、きょうも引き続き辞職を求めるという前提に立って質問をさせていただきます。

(この日の質問のテーマは主に3つあったが、まずは、新たな法案にたいする政府の説明姿勢について↓)

まず、この共謀罪、テロ等準備罪、呼び方はいろいろあると思いますが、私は、これから提出される法案の審議の入り方、一番最初に一月の本会議、予算委員会のあたりから議論に入ったのですが、その最初の政府の答弁のあり方というものに物すごく大きな問題があったと考えております。一月二十三日、衆議院本会議で安倍総理は、この共謀罪について、質問に答えた後に、「なお、現在政府が検討しているテロ等準備罪は、テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるものであり、これを共謀罪と呼ぶのは全くの間違いです。」と。全くの間違いだということを、「なお、」という言葉をつないで、あえて付言をされている。(←あえて付言しているところに、私は総理の強い意思を感じた)その後、二十四日、衆議院の本会議でも同様の答弁、二十五日、参議院の本会議では二回同じ発言を付言されております。

金田大臣も、今国会初めてこの問題について議論に立たれた一月二十六日の衆議院予算委員会で、「従前の共謀罪とは全く別物でございます。これを共謀罪と呼ぶのは誤りである、この点は申し上げておきたい」、総理と同じように、全くの別物、今までと一緒にするのは間違いだということをあえて付言をされております。

しかし、ここまでの政府の主張を聞いておりますと、当初は六百を超える対象犯罪があった、過去の共謀罪ですね。それが三度廃案になった、国民の理解を得ることができなかった。そして、その不安を払拭するために、今回、条約のオプションを行使する。きょうは踏み込みませんが、条約をよく読んだら、組織集団を限定したりですとか、実行準備行為というものを加えたり、そうした条約のオプションを使って、今度、報道によれば二百七十七。大臣も、実際、絞り込み、少なくなると思いますということは答弁をされております。

こうした一連の政府の答弁を聞いておりますと、私が問題だと申し上げた冒頭の発言、ここをもし、あえて付言をされるというのであれば、「過去の法案が国民の理解を得ることができなかった、したがって、もう一度よく条約を精査して、分析をして、改めて、対象の犯罪、対象団体、これを限定して出直すから、国民に理解をいただきたい」、そういうスタンスで入られるべきではなかったかとずっと思ってまいりましたが、その点についてコメントをいただきたいと思います。(←理解を求める言い方というものがあるだろうという話)

○金田国務大臣 御指摘に関連しましては、私どもも、かつての共謀罪と違う、何が違うのかということについていろいろと御説明をしながら進んではきたものというふうに思っておるわけであります。

主体を組織的犯罪集団に限定し、実行準備行為があって初めて処罰できるものとするものであって、共謀したことのみで処罰されるかつての共謀罪とは別物と言えるんだというふうに申し上げてきたことを御指摘だったと思うんですが、そういうことを指摘してきたことも事実であります。過去の共謀罪を含む法案審議の過程において、やはり国民の皆様の不安や懸念を払拭できなかったことについては重く受けとめておるわけであります。(←重く受け止めているという発言が、1月の予算委員会から聞いて来て、ようやく出た)新たな法案の提出に当たりましては、国民の皆様に対する丁寧な御説明が必要であることは十分に認識をしておるつもりであります。そのため、法案については、成案を得ていない現段階においても、その検討の方向性等につきましては可能な限り御説明を行っていきたい、このように思っているわけでありますが、ただ、法案について成案を得ておらないという現時点で、説明のできる内容にはおのずと限界があることにもどうぞ御理解をいただきたいな、このように思っておるわけであります。今後、成案を得た後には具体的な法案の内容に基づいて御説明を尽くしてまいりたい、このように思っています。

○井出委員 今お話があった、その中の部分にきょう入るつもりはございません。今、国民の理解が得られなかったことを重く受けとめていると。そういう話をやはり最初から言っていただくべきだったと私は思います。

安倍総理大臣は、一月二十六日、衆議院の予算委員会で、これまでの過去の法案から今回の法案に至る間のことについて、反省という言葉を一度使われております。しかし、必ずしもその趣旨は明確ではございません。私が一番問題としたいのは、これまでの過去の法案が理解を得られなかった、それを踏まえて、条約を見直して、解釈を見直して、大きく変えようとしているのは皆さんなんですよ。ですから、理解を求めなければいけないし、過去の法案が理解を得られなかったことにもっときちっと率直に反省と言っていいと思うんですよね。そういう姿勢が冒頭お話しをした答弁では一切なくて、むしろ、過去強い反対があって、この法案を不安に思っている人がいる、そういう人たちを上から、これは間違いなんだ、そう言っている人たちが何かおかしいと。国民の理解が得られなかったということを重く受けとめているんだったら、なぜそういう上からの視線の答弁になったのか。申し上げていることはわかっていただいていますか。

この法案がこれからどうなるのかわかりませんが、この法務委員会、それから、恐らく審議入りするとなれば本会議でも趣旨説明が行われるでしょう。そこの文言に今私が申し上げたような趣旨を必ず取り入れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

○金田国務大臣 井出委員からの非常に貴重なアドバイスだというふうに思っております。(←貴重なアドバイスというからには、生かしてほしい)

先ほど申し上げたとおり、過去の組織的な犯罪の共謀罪を含む、いわゆる共謀罪を含む法案審議の過程において国民の皆様の不安や懸念を払拭できなかったことについては重く受けとめておりまして、新たな法案の提出に当たりましては国民の皆様に対する丁寧な御説明が必要であるということは認識をいたしました。

○井出委員 冒頭紹介した政府の発言というものは、これまでになされておりますので、それがなければなという思いは本当にあるのですが、重く受けとめていただきたいですし、できれば、この国会の冒頭で付言してきたものについての反省についても、きちっと言及をしていただきたいと思います。そのことについてはいかがでしょうか。

○金田国務大臣 委員の御指摘も踏まえまして、今後、対応を検討していく過程でそのアドバイスを生かしていきたいなと思っております。

○井出委員 今度出る法案が過去の法案と別のものであるかどうかは、お互い、現時点ですと主張は違っていると思うんですね。ただ、その説明の仕方というもの、国民の理解の得方というものがあると思うということは申し上げておきたいと思います。

(ここからは、広い共謀罪がもともとあり、大きなテロもあったアメリカが、現状どうであるかを例に、今後のことを問題提起↓)

次に、この法案がこれから世の中にどういう影響を与えていくのかということを少し考えていただきたい。
二月八日、衆議院予算委員会、私の質問に対しまして、大臣は次のようにおっしゃっております。「ですから、委員がおっしゃるように、さまざまな立場の皆さんの連携で、安心と安全、そして個々人の自由、幸せをしっかりと守るという気持ちを持つことが最も大事である」と。それから、少し飛ばしますが、似たような話がもう一度出てきております。「その先を思う、先生と同じ、まあ、私は先生じゃないんですが(←私は先生じゃありません!)、我々はやはり国民の幸せと安心と安全を守りたい、その一心で議論をしている」と。

私、この大臣の答弁を引き出すに当たって、安全と安心という言葉は使いました。この安全というものは、大臣のおっしゃるテロ対策です。安心というものは、私が質問させていただいた刑法の謙抑主義、それから大臣がお答えになった罪刑法定主義の重要さを、その意味を込めて安心と安全という言葉を使いました。これに対して大臣は、その二語に加えて自由と幸せという言葉を使われた。

個々人の自由ということについては、恐らく、刑法の謙抑主義、罪刑法定主義の大切さについて含意されたのだと思います。そこで、幸せというものについて伺ってまいりたい。

共謀罪がフルスペックである国、アメリカ、イギリス。例えば、アメリカの現状が今どうなっているのか。九・一一という大きなテロ事件がありました。その後、治安対策の強化が急激に主張、推進をされております。もともとアメリカでは、一九七八年、外国情報監視法、FISAと読むのだと思いますが、によって外国人の通信傍受というものが認められました。九・一一の一カ月後にその権限を強化するパトリオット法という法が成立をしまして、政府の監視活動を強化する条項が入りました。

以下、ある論文を御紹介します。
このパトリオット法においては、FISA、外国情報監視法に対して、広範な通信傍受活動を認め、特定の電話回線、コンピューター及びその他の通信手段を個別具体に指定せずとも、対象者に対するまたは対象者によるあらゆる通信の傍受が可能となった。また、これまでは、監視活動遂行のためのサポートは、裁判所による指定を受けた第三者機関(有力な通信事業者等)によるものであることが必要だったが、パトリオット法においてその限りではなくなった。この修正は、善良な利用者、特に、公共施設、図書館、大学、インターネット喫茶等においてインターネットにアクセスする者のプライバシーに大きな影響を与えるこ
ととなった。例えば、そのような施設において監視対象者が通信の実施をした場合には、FBIは、当該施設の全ての通信をモニターすることができる。また、モニターに関する協力要請を受けた者(図書館等)は、モニタリングが実施されていることを口外してはいけない。また、この広範な通信傍受活動は、合衆国憲法修正第四条が要求する捜索令状において、捜索場所の特定に合致をせず、合憲性に係る問題を生じさせた。この論文は、平成二十七年九月から翌二十八年の二月までアメリカに留学をした法務省公安調査庁の若手の職員が、「米国におけるテロ対策の現状及び課題」として公にしているものであります。この共謀罪という法律は、まあ、テロ等準備罪という名前でもいいですが、犯罪の実行着手から見て、現行法と比較した場合、予備罪、準備罪と比較した場合、時間的にかなり前の段階で、計画の段階で検挙をしていくということは、名前がどうであっても変わらないかと思います。(←ここは大事)

通信傍受について、金田大臣は予定をしていないということを何度も答弁をされておりますが、その一方で、将来は検討の可能性がある旨の答弁をされております。この通信傍受の、使わない使わないと繰り返されている答弁の理由と、そしてまた、将来検討の可能性があるというこれまでの答弁は維持されるかどうか、改めて確認をしておきたいと思います。

○金田国務大臣 テロ等準備罪の創設に伴って通信傍受の対象犯罪とする予定かどうかというお話であると受けとめました。テロ等準備罪を新たに設けることに伴いまして、テロ等準備罪を通信傍受の対象犯罪とするかということは、全く予定をしておりません。そして、将来にわたって通信傍受の対象犯罪にしないと明言できるのかというふうに言われました。まあ、明言するのかということですね。それに対しましては、テロ等準備罪を含めて、通信傍受の対象犯罪を追加する法改正を行うことは予定はしておりません。(←大変重要なところ。きょうも内閣委員会の質疑で、警察のトップ、国家公安委員長に改めて確認した部分だが、まだ疑念は拭えない。犯罪実行より時間的に遥か前の計画や凶暴で逮捕するためには、証拠に基づく捜査よりも、情報収集、監視的捜査の必要性は高まると考えらえるので、ここは、さらに今後の質問ポイント。)

○井出委員 ここはまたいずれ深掘りをしたいと思っておりますが、現在の通信傍受捜査というものは、きちっとその令状が要る、さまざまな限定がある。そうした中で実際に、共謀、合意という、これまでの刑法では一般的には取り締まってこなかった、まあ、限定で共謀罪というものもありますが、そうした段階のものに適用できるかというところはやはり議論があると思います。

その一方で、警察庁は、これまでの今後の刑事司法のあり方などをめぐって、会話傍受と新たな捜査手法の必要性を繰り返し述べております。警察庁のホームページを見ますと、こんな文章があります。

警察においては、警察捜査を取り巻く環境の変化に適切に対応していくため、会話傍受制度や仮装身分捜査、証人保護プログラム等のさまざまな捜査手法について不断に検討を進めていく必要があると、会話傍受のことはしっかりと出てきております。今読み上げました文章は、警察庁の採用情報サイト、新たに警察官になりたいという人が見るサイトです。ですから、警察の捜査の今後をしっかりと明示しているのかなと思います。

通信傍受の拡大、それから会話傍受の導入、そうしたものが、今、法改正は予定されていないと。その一連の、会話傍受、通信傍受の拡大が、今検討されているこの共謀罪の新設、大幅な拡大によって、そうしたものの導入の議論が私は加速されるだろうと思って見ておりますが、その点についてはいかがでしょうか。(←議論が加速することは確実ではないかと私は思っている)

○金田国務大臣 捜査手法のあり方、捜査のあり方については、個別具体的な事案に応じてさまざまでありまして、一概にはお答えをしかねるのでありますが、テロ等準備罪の捜査についても、現在行われている他の犯罪の場合と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って必要かつ適正な捜査を行うこととなるものと考えております。(←ここは全く答えていない。今日の内閣委員会で、警察トップの国家公安委員長は、「捜査手法の検討は、テロ等準備罪とは別物」と答弁したが、この答弁は、さらに問いただしていかないといけない)

○井出委員 このテロ等準備罪、共謀罪、私は、前段に少しアメリカの事例を取り上げましたが、日本はそういう大きいテロというものが幸いにしてないわけですね。ですから、アメリカの事情が理解できないわけではございません。

実際、この共謀罪、テロ等準備罪の世論調査を見ますと、その必要性を容認する数字というものが高い、そういうものが新聞等で出ております。テロ対策の必要性を何となく皆さん、国民が感じているかもしれない。この点について、この法案でテロ対策が万全になるということはないということは、また機会を改めて徹底的に明らかにしていきたいと思いますが。

一昨年、衆議院の法務委員会で通信傍受捜査の拡大について議論をしたときに似たような思いを、この共謀罪についてなぜ世論は容認をするのか、通信傍受捜査の拡大についてなぜ通信傍受捜査導入時のような大きな反対がないのかということを同じ思いで考えたのですが、一つには、治安、犯罪対策というものへの要請があると思います。
それともう一つは、インターネットでこれだけ今情報が氾濫をしている。インターネットに積極的に自分自身も書き込んでいる。メールやメッセージだって、さすがに自分のものは人には見られていないだろうけれども、アメリカの話とかを聞いていれば、見ようと思えば見られるものになっているのではないか。私は、これは一つの諦めのような心境の容認の仕方なのではないかなという思いを、通信傍受の捜査の拡大のときの議論そしてまた今回の世論調査の数字を見ていて思うのです。

大臣の答弁でおっしゃった幸せというものは、日本が今、すばらしい治安を誇っている、その安全を守る、それから刑法、刑罰に謙抑的な、安心できる社会である。これは、世界の先進国ほど犯罪情勢は多様になってきますから、そういうバランスをとるということはなかなか難しい。そのバランスをとることこそが幸せな社会であって、どうせもう、インターネットというものは自由にやれるけれども、みんな見ているんだ、悪いやつは監視されるんだ、そういう気持ちで日々過ごしていく社会というものが本当に幸せと言えるのか。そのことについて伺いたいと思います。(←幸せとは、理想なのかもしれないが、日本は世界よりも幸せを守っていると私は思う)

○金田国務大臣 幸せという意味をどの範囲で捉えるかというのはあろうかと思います。幸せは非常にさまざまな内容を持つものだと思います。今委員が御指摘になられた、監視のないという表現をされましたが、それも非常に重要な要素ではないかな、こういうふうに考えておる次第であります。

○井出委員 刑法の謙抑主義というものを、言葉は前回の予算委員会でも紹介をしたんですが、それを日本で一番最初に言った方は宮本英脩さんといいまして、京都帝国大学の教授の提唱であると言われております。一九二六、昭和元年に、刑法学綱要第一分冊というものの中で初めて紹介したと言われております。

この方の論文を読んだのですが、この宮本さんは、人間の風邪や病気に社会と犯罪との関係を例えられて、社会も時を経ていくといろいろな犯罪要因が出てくる、それに対して手を打っていかなきゃいけない、人間も年をとってくればいろいろ対処をしなきゃいけないところがある、いろいろ薬を飲まなければいけなくもなってくると。果たして、この共謀罪、テロ等準備罪というものが、私は、まだ健常で、風邪を引いたりちょっとお酒に弱くなったとかいろいろあるかもしれないですけれども、例えば健常でしっかりと歩ける人に松葉づえを持たせるようなことになるのではないか。

宮本さんの言葉をかりれば、犯罪というものは根絶することはできない、人間に、風邪一つ引かないで生涯壮健に生きろと言われたら、恐らくその人間は部屋から一歩も出ることができなくなるだろう、風邪とか病気とかけがというものは防ぐことができないんだ、だからこそ、そういうものがどうしてもあるということを認めて、それをどう予防していくか、犯罪の予防の意義を説かれているんですね。


人間の体、病気、そういうもので例えれば、私はやはり、必要以上に刑法をふやしていく、まあ、条約で入らなければいけないという理由は一つあります、しかし、日本は治安がいい、国内的な治安情勢を見れば、今、共謀罪を幅広く設定するという意味合いはないのではないか。

私は、幸せなのは、どちらかといえば、できるだけ刑法の謙抑主義を守っていくということだと考えますが、大臣のコメントをいただきたいと思います。

○金田国務大臣 委員御指摘のとおり、もちろん刑法の謙抑主義というのは重要である、このように思っておりますが、一方で、三年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えておる現状の中で、昨今の国内、国外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止して、これと闘うための国際協力を可能とするようなTOC条約を締結することは不可欠であろう、このように考える次第なのであります。(←謙抑主義よりもオリンピックのテロ対策、のための条約に入ることが大事と、ここは明確な反論だった)

現行法は、TOC条約が定める重大な犯罪を行うことの合意または参加の犯罪化義務を果たしておりませんので、そのこと自体が十分な立法事実に当たりまして、繰り返し御説明をしてきたところであります。

具体的に、犯罪化義務を果たしていないということに関しましては、現行法上、参加罪は存在せず、そして、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。また、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものではない上に、裁判例上、相当の危険性がなければ処罰の対象とはならないという状況にあるわけであります。
したがいまして、TOC条約の犯罪化義務が果たされていないということが明らかなわけであります。

(ここからは、新たな共謀罪に、チェック機能はあるかという問題提起)

○井出委員 条約の話が出ましたので少し私からも申し上げたいのですが、尾崎久仁子さんという方がおりまして、この方は、もともと外務省、それから法務省刑事局にも出向して、今、国際刑事裁判所裁判官、裁判所第二次長に選出をされている方であります。この方が二〇〇七年に「刑事法ジャーナル」というところに文章を寄せているのですが、当時の尾崎久仁子さんの肩書は、国際連合薬物・犯罪事務所、まさに条約関係を扱うところの条約局長のお立場でありました。

その主張を見れば、国連のお立場、外務省、法務省と行かれての御発言ですので、日本の国内法を整備すべしだ、そういうことを一貫しておっしゃっているんですが、その最後のところで御紹介したいところがございます。

国際社会においては、国際刑事法の発展は国際人権法の発展といわば対になって、あるいは一体化して進められてきた。この条約が求める措置が国際社会の害悪と闘うために必要であるとするならば、求められるべきものは国内の刑事法を強化しないことではないと。この方は国内法を整備しろというお立場なんですね。そうはっきりと述べられているんですが、最後の結びとして、その後、国内刑事法と人権保障の双方の強化をする発展的バランスの確立であると思われる、そのことが重要だと述べられております。(←政府と同じ、共謀罪を整備すべしという論者の言葉から、人権保障の大切さを見つけたのは、われながら良かった)

これまでの法案の審議、細かいことは成案が出てからやると思いますが、少なくとも、大きなところを議論した限りでは、今回、共謀罪をたくさんの犯罪に対象を広げることで、それに対して、人権を擁護するようなものがあるのか。

二〇一三年の特定秘密保護法、あれも大変評判が悪く、私も反対をしました。しかし、あれは、すったもんだあったおかげで、今、曲がりなりにも国会にチェック機能ができた。昨年、一昨年の通信傍受捜査の大幅拡大はどうだったのか。立会人は要らなくなる、いずれ警察の施設内でやることができるということに対して、我々はくどいほどそのチェックを求めた。チェックを求めた、その実現には必ずしも至りませんでしたが、あれだけ本当に、私は何度も何度も、どの会にもそのことを言ってきておりますから、何かあったときは、あれだけ言ったじゃないかと、それを言うことのできるぐらいの資格が私にはあると思います。

今回のテロ等準備罪、共謀罪の新設については、そうした人権に対する配慮、チェックのところ、そうしたものの議論はこれまで一切なかったと思いますが、何かおっしゃっていただけるようなことはあるのでしょうか。

○金田国務大臣 ただいまの委員の御指摘でございます。申し上げるまでもなく、テロ等準備罪に限らずに、罰則を立案するに当たりましては、人々の安全、安心を守るという要請を、人権保障の要請をないがしろにすることなく実現をしていくということが常に課題になるんだ、このように思っている次第であります。この課題をどのように克服していくのかということをしっかりと検討して、そして国民の皆様に御理解をいただけるように御説明するのが政府の責務ではないかな、このように考える次第であります。(一般論というか、あまり答えになっていない印象を受けた)

○井出委員 まだ成案を得ていないというのであれば、今、与党の中で部会が開かれているとも聞いておりますが、この部分についてもしっかりと議論をしていただきたいと思います。(与党は法案を了承したという話がきょう、マスコミから伝わって来て、与党内で、チェックについて議論がなかったとすれば寂しい)

(最後は罪刑法定主義の大切さについて、ここは質疑というより、私の演説に近いが大事なところなので時間をかけた)

それから、最後に、罪刑法定主義がいかに重要であるかというところについて、少しお話をさせていただきたい。私がさきの予算委員会で質問したときに、大臣の方から罪刑法定主義というお話を挙げていただきました。私は刑法の謙抑主義というものを挙げましたが、いずれも根底は同じ、刑罰を行使していく上で非常に重要な概念であると思います。この罪刑法定主義の考え方というものが一体どれだけ日本に長く根づいているのか、それがいかにして守られてきているのか、そのことについて何か感じていらっしゃることがあったら、まずお話をいただきたいと思います。


○金田国務大臣 罪刑法定主義というのは、一定の行為を犯罪として行為者を処罰するためには、あらかじめ成文の刑罰法規によって犯罪と刑罰とが規定されていることを要するという原則をいうものと承知しております。その趣旨は、国家の刑罰権を法律の定める限度に制限することによって、個人の権利と自由を擁
護しようとするところにあるのではないか、このように考える次第であります。

○井出委員 罪刑法定主義というものがいかに大切にされてきたかというところをお話しさせていただきますと、現行の刑法は明治四十年に始まっております。しかし、罪刑法定主義というものは、その一つ前、今から百三十五年前の旧刑法に明記をされております。旧刑法の二条に「法律ニ正条ナキ者ハ何等ノ所為ト雖モ之ヲ罰スルコトヲ得ス」と。(←罪刑法定主義は戦争の反省とか、戦後レジームとかいう話ではなく、明治15年からの日本の国柄。ちなみに罪刑法定主義はイギリスのマグナカルタ、フランスの人権宣言、アメリカの合衆国憲法にもある。)旧刑法に大きな力を果たしたと言われているのは、ほかの日本の法律の近代化にも貢献をしてくださったフランスのボアソナードであります。ただ、そうはいっても、日本の刑法というもの、それまでの江戸時代それから幕末、王政復古、大政奉還の直後は、まだはりつけですとか首をはねるとか流刑というものが認められていた。それを大きく法典的に変えたのがこの旧刑法なんですが、そうはいっても、まだ日本には、むしろ罰を厳しくしようという考え方が残っておりました。

それから、当初フランスのものを参考に刑法が整備され、すぐにほかの法律と同様に、ドイツの考え方、フランスのような共和制ではなくてドイツに見習おうということで、ドイツにあらずば法にあらずということで、刑法もいじられることになるんです。そのときは、ボアソナードの師に当たる方にオルトランという方がいて、その方に学んだ宮城浩蔵さんという方が、旧刑法から今度、現行法の刑法の制定に一定の力を果たすことになる。

明治四十年にできました刑法の一番の特徴と言われているのは、刑の執行猶予制度を設けたこと、それから正当防衛を殺傷罪だけではなくて広く一般化したこと、そうしたさまざまなものがあって、参考にしたドイツの刑法よりも進んでいる、そういう評価をされている論文を幾つか見ております。(←明治維新、不平等条約解消などのために、近代化を急いだ日本は、外国のいいところを取り入れたと、刑法については言えるのではないか)それが、例えば自由民権運動を取り締まる、すみません、名前はちょっと定かではありませんけれども、新聞何とか条例というものができたり治安維持法というものができて、戦争に近づくにつれて、やはりそうした罪刑法定主義、そういうものの大切さというものがだんだん失われていく。

では、戦後はどうだったのか。戦争が終わったからといって、必ずしも刑法が大きく変わったわけではありません。刑事訴訟法は確かに大きく変わりましたが、刑法そのものは、不敬罪であるとか姦通罪であるとか、そうしたものがなくなったにとどまった。大枠を維持したというのが主な刑法学者の言い方であります。

しかし、先ほどの議論とも重なるんですが、それから絶えず、社会の高度化によって、やはり犯罪に対して厳しく処罰をしなければいけないんだ、そういうことがいつの時代も言われてきたと言っても決して過言ではありません。(←ここはとても大事、日本もそうだし世界もそう)

戦後で申し上げれば、一番端的なのは改正刑法草案の議論があったときです。そのことについても、最終的には、口語化に絞った、書き方を変える改正へと縮小していくことになって、日本は、やはり法律罪刑法定主義ですとか謙抑主義の原則というものに対しては極めて厳格であった。

その一方で、犯罪は高度化をしておりますから、今では当たり前ですけれども、著作権法や証券取引法の改正は一九八六年、私が生まれてからのことであります。独禁法への刑事制裁の強化、それから、国際的なものでいえば、八〇年に国際捜査の共助法などというものもできておりますが、日本の刑法にかかわるものをふやすということは、そうして個別の目的に応じて個別に対応してきているんですね。(←ここはさらに大事、ここはさらに明確にしていきたい)

共謀罪、今回、二百七十七だと思いますが、広く包括的なものを一気に刑法にふやすということは、私はその意味においては、恐らく、戦前戦後
を見ても、これは本当に大きな転換点ではないか。テロ対策は確かに非常に大事だと思うんです。でも、私は、できるんだったら個別に手当てをした
方がいい。今までの刑法の改正の中で一生懸命守ってきた大事な謙抑主義、罪刑法定主義の原則というものをここで一気にぐわっとふやしてしまって本当にいいのか、それだけの危機感はあるのか。このことは国民にも考えていただきたいことでありますが、それだけの大きなことに着手をしようとしている、そこに、金田大臣がその任に当たっている、その危機感、緊張感というものがどれだけあるのかということを伺っておきたいと思います。(←ここは特に強調したいところ。「国民にも考えていただきたい」という言葉をこれまで使ったことはなかったが、この法律をなんとなく容認しているとしたら、もっと大切なものがあるということをどうしてもお伝えしたかった)

○金田国務大臣 井出委員からは、非常にいいアドバイスといいますか、本来の、刑法に対する考え方、罪刑法定主義から始まって、御指摘をいただいたと思っております。

現行法との整合性が確保されるということが非常に、私、御指摘をいただいたとして考えた場合に、既遂犯の処罰というのが原則である。実行着手にとどまる未遂よりもさらに手前の段階となる予備、共謀の処罰というのは、犯罪の未然防止を図る上で必要性の高い重大なものについて例外的に設けられているものと認識をしております。この点、テロ組織を含む組織的な犯罪集団が計画をして実行する犯罪というのは、国民生活に重大な結果をもたらすんだ、したがってその未然防止を図る必要性は高いんだ、こういう考え方だと思うんですね。

したがいまして、そのような犯罪について、合意に加えて実行準備行為が行われた段階で処罰するものとするということは、重大な結果、重大な犯罪ということとの視点からまいりまして、現行法の規定との整合性を欠くものではないのではないかというふうに考える次第であります。(←ここは、抑揚なく大臣が答弁したので、新井がよくわからないが、とりあえず法案の必要性は述べている。でもこうして改めて字にしてみると、合意や準備行為やらの条件をつけて重大犯罪を取り締まるのだから、謙抑主義や罪刑法定主義の原則からはみ出ないと言っているように見える)

○井出委員 穏やかにお話をされましたが、法案の必要性というものを今お話しになったと思うんですが、きょう知っていただきたいのは、刑法を大きく変えかねないような、そういう話であるという緊張感を持っていただきたい。(←ここの、緊張感については、今日の法務委員会で、逢坂議員が改めて問うたところ、大臣から「緊張感を持ってやっていきたい」旨の答弁があった)
立法事実として、一つ、条約に入るということはあると思います。それから、それが結果としてテロにも資金が回るんじゃ、そういう話も私は理解をします。だけれども、最近の予算委員会で言われている、百八十七の国がこの条約に入っていて十一だけ加盟できていない、それは恥ずかしいという、私はそれは数の問題ではないと思うんですね。むしろ、日本が謙抑主義、罪刑法定主義を守ってきたことの方が誇るべきことであって、何か国連の会議に行ったら第三列でオブザーバーだみたいな話よりも、私は、今の日本はよっぽどとうといものを持っていると思う。

民進党は条約の参加というものについては肯定的に捉えているんですが、私の問題意識は、きょうお話をしたように、この条約に入ることの必要性で刑法の一番大事なところが失われるようであってはならない、その視点でこれからもまた議論をしていきたいと思います。きょうはありがとうございました。

○鈴木委員長 次回は、明八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十二分散会

金田大臣へ辞職を求めた質問   2017 年 3 月 9 日

先日、2月8日の予算委での質問について、議事録に沿って解説したい。テレビのニュースで結構取り上げられた質問だが、ニュースは、ほんの一部の切り取りにすぎない。長文にはなるが、映像だと30分。文字の方が早く読めると思うので、質問全体の意図を感じていただければ幸いだ。他党の方から褒めていただき、私としては一定の問題提起ができたと思う。
 以下、議事録全文。【】内は私の補足、感想。

 

 

○浜田委員長 次に、井出庸生君。


○井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。 これまで、私、各委員会で参考人の登録を認めないということはしてこなかったのですが、きょうは若干、堪忍袋の緒が切れているところがございまして、金田法務大臣と質疑をさせていただきます。【「参考人登録を認めない」とは、官僚の答弁を認めないということ。これまでは、大臣に答弁を求めて官僚が出て来ても拒絶はしてこなかったが、この日は難しい質疑は一切なし、大臣への憤りをぶつけるということで参考人登録を認めなかった】
 六日に金田大臣がマスコミに配られた文書、その日のうちに撤回をされ、きのうの委員会でも結果として不適切だったというようなお話がありました。
 私は、文書を配った云々以前に、文書の中身、そこに書かれていること、きょう新聞記事をつけさせていただいておりますが、「専門的な知識を有する政府参考人も加わって充実した審議をしろ」、「それから、質問要旨が曖昧だ」、さらには、外「務大臣を入れろ」、そして、「以上を踏まえて法務委員会をやるべきだ」、そういうお話であると思いますが、まず、この中身について撤回をするお考え、中身について、これは間違いだった、検討し直す、そういうようなお考えがあるかないかを伺います。


○金田国務大臣 井出委員から御質問がございました。お答えをさせていただきます。
 御指摘は、おととい法務省から法務省法曹記者クラブの記者の皆さんに配付をいたしました「予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑について」と題する文書にかかわる御質問と受けとめております。
 この文書につきましては、国会に対しその審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねないものでございますので、不適切なものとして、直ちに撤回をさせていただいた次第であります。改めて、この場をかりておわびを申し上げたい、このように思います。
 そして、国会における法案の審議につきましては、与党協議を終了しているかとか、成案を得ているかとか、あるいは国会提出後か否かにかかわらず、どのような質問も妨げられるものではないと理解をいたしております。
 その上で、御質問の内容によりましては、法案の検討の具体的進捗状況等に鑑み、御質問の時点で確定的な回答をすることが困難な場合も想定されるところでございます。そのことは御理解を賜りたい、このように思っておる次第であります。
 もとより、国会に対しまして、みずからが行う施策につきまして、丁寧な説明に努めるという政府の基本姿勢に立ちまして、誠実に職務に当たってまいる所存であります。


○井出委員 委員長、全く質問にお答えをいただいておりません。
私が質問したのは、この文書の、主に三つ箇条書きをされていますが、この大臣のお考えを撤回する意図、これは間違いだったと、そういうようなお考えの余地があるかないか、それを伺っております。もう一度答弁を。(発言する者あり)


○浜田委員長 速記をとめてください。〔速記中止〕 【速記中止、大臣がすぐに答弁ができず、官僚との打ち合わせのため審議が一時止まる】


○浜田委員長 速記を起こしてください。金田法務大臣。


○金田国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、 国会に対しましてその審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねないものである、このように判断をいたしまして、直ちに撤回をさせていた だいたところであります。そして、改めてそうしたことにつきましておわびを申し上げたい、この ように申し上げたのですが。
 国会における法案の審議につきましては、先ほども申し上げましたが、与党協議を終了しているか、成案を得ているか、あるいは国会提出後か否かにかかわらずに、どのような質問も妨げられるものではない、このように理解しております。
 ただ、一方で、その上で、御質問の内容によりましては、御質問の時点で、法案の検討の具体的進捗状況等に鑑みまして、確定的な回答をすることが困難な場合も想定されるところがあろうかと思います。そのことは御理解を賜りたい、このように申し上げた次第であります。
 もとより、国会に対して、みずからが行う施策については丁寧な説明に努めるという政府の基本姿勢に立って、誠実に職務に当たってまいりたい、このように考えております。


○井出委員 考えそのものを撤回されるかどうかは明言をされない。
 この文書に書かれています大臣の考えというものは、大臣がこれまで各委員会の中で再三答弁をしてきたものであります。簡単に撤回できる話ではないというのも私はわかります。一例を挙げますれば、刑事局長を入れて議論をしろと。(発言する者あり)【「発言する者あり」とは、ヤジがうるさいことを表す】


○浜田委員長 静粛に願います。


○井出委員 刑事局長を入れて審議をしてほしい、 それを、かつてこの場所で、大臣は大手を振って 答弁されたこともございます。また、安倍総理大 臣も、林局長を入れてほしいというようなことを おっしゃった。実務上、運用上のことは実務家に聞けと。
 しかし、ここまでの委員会で問われてきたことは、検討中の法案の立法の趣旨、目的、その背景となる立法事実、法務省が民進党に提出をした三つのイメージ、こうした事案が防げないから法案の検討が必要なんだというものに対しても明確に答えができない。【これまでの議論を丁寧に振り返るとはっきりしているが、この法案の必要性、すなわち立法事実について答弁に窮していることが、この法案の大きなポイント】
 私は、この立法目的、立法趣旨、その背景となる立法事実を、かつて刑訴法の法案審議のときに、法案の魂、そういう言葉で当時の上川大臣と質疑をさせていただきました。上川大臣には一定のお答えをいただきました。法案の魂を、政治家が、大臣がしっかり語ることができなければ、どんなに実務家が優秀であっても、その実務、運用、そして国会の議論を踏まえた実務、運用上の配慮、そういうものは一切構築することができない。
 法案の魂を語ることのできない大臣は即刻辞任をするべきと考えますが、答弁を求めます。 【ここは、テレビニュースで取り上げられたところ。法案の魂とは、立法目的、立法趣旨、その背景となる立法事実を示す、私の造語】


○金田国務大臣 私の思いは先ほど申し上げたとおりでございまして、あのペーパーにつきましては、不適切なものとして、撤回をさせていただいた次第であります。
 その上で、私はやはり、法案は、御指摘のように、その法案の魂というもの、それから基本的な方向というもの、考え方というもの、そういうものをしっかりと答弁しなきゃいけない、このように思っておりますし、同時に、御指摘の中にございましたように、そういう議論を闘わす場として、本当に、この予算委員会の中でも、そしてまた所管の委員会の中でもしっかりと議論をしていくことが我々に課せられた使命である、このように考えております。


○井出委員 検討中の法案の魂について、改めて ここでお話をいただければよかったのですが。
この法案の目的、それから立法事実、そうしたものはこの法案の核心部分に直結をしてくる。さまざまな懸念をこの法案については申し上げてまいりました。恐らくこの法案の核心の一つは、かつての共謀罪との違いと大臣が強調される準備行為というものが構成要件なのか、違うのか。そこについても全く、これまで明確な答弁はない。【政府は検討中の法案について、「共謀に加えて準備行為がなければ逮捕されない」と、過去の共謀罪との違いを強調しているが、準備行為がいかなるのもので、そして準備行為が、構成要件、犯罪が成立するための最初の条件、要件として、条文に明記されるかどうかについても、これまで何度聞いても政府は、明言を避けている。ここも重要なポイントの1つ】
 この法案の核心というもの、いまだ提出されていない法案の核心、ここをつくる上で、法案作成の責任者の、本当に責任者なのかどうかわかりませんが、林刑事局長も大層苦労されているんじゃないかと私は同情しております。
 この法案の責任者は、果たして本当に林刑事局長なのか。法務委員会、本会議、一体、この法案の趣旨説明はどなたがやるおつもりなんですか。


○金田国務大臣 呼称でテロ等準備罪と申しております、この法案を指してお尋ねだと思います。 この法案については、非常に重要な立法事由というのがある、このように受けとめております。
 そして、その上で、この法案の趣旨説明は誰がおやりになるかという御指摘でございました。当然に、この法案を所管します、提出します、閣法でございますので、その役所の責任者たる大臣がすべきものと考えております。
 また、お話の中でございました、局長のお名前も出たようでございますが、その局長は確かに、その法案を作成するに当たって、実務の責任者としてしっかりと仕事をされている方であります。しかしながら、趣旨説明は大臣がすべきものと考えております。


○井出委員 この予算委員会で、この法案の趣旨、 目的、立法事実を明確に語れない大臣には、私は、本会議、法務委員会の趣旨説明で官僚のつくった文書を棒読み、それも、棒読みすらままならない のではないかと懸念をしております。
 これまでの予算委員会を見ても、きょうもそうです、きょうは大臣席の後ろですから見てくれはまだいいですけれども、どれだけの書類がそこに散らかっているか。そしてまた、そこで一生懸命大臣をサポートしている法務官僚を叱責する。さらには、与党の理事の方が、委員会の審議がとまって、大臣の答弁の方向性を促す、そういうことで大臣のところに駆け寄るならわかりますが、理事席から直接駆け寄る。
 国民が国会に失望しているその理由は幾つかありますが、外形的なものとしては、きのうお話のあったやじもそうでしょう、居眠りというのもそうでしょう。ともに、与党、野党、許されることではありません。しかし、一つの大きなものとして、答弁を、官僚の用意したものもまともに読めない大臣というものに対する批判は極めて強いものがあります。御自身の資質をどう考えているのか、答弁を求めます。【この段落の最後二文も、ニュースで取り上げられた。金田大臣のそばに官僚が多数待機し、足元に書類が散乱している光景は、この予算委員会で何日も続いている】


○金田国務大臣 ただいまの御質問にお答えをいたします。
 提出する法案を、予算委員会においてもしっかりと、お尋ねをいただいた場合には、その趣旨、あるいはその立法事由、そういうものをしっかりと議論していく、そのために御質問を賜り、それにお答えをしていく、これは当然のことと思っております。
 ただし、そういう過程の中で例えば答弁ができなかったりした場合には、それをどういうふうな形で、別の表現で、あるいは御質問を重ねてお聞きをしたり、それにまたしっかりとお答えをする努力をするというのも当然のことであろうかと思います。
 ただいまの井出委員の御指摘を踏まえて、私も しっかりと、誠心誠意職務に、職責を果たす思い で臨んでまいりたい、このように考えております。


○井出委員 この法案に対する懸念というものは さまざまありますが、私は、この法案が、刑法の さまざまな原則、重要な考え方、そういうものと の整合性、そういうものが根底から覆るのではないかと懸念しております。
 刑法のこれまで言われてきた諸原則との兼ね合いで、一体何がこれまでの議論で危惧をされてき たのか、大臣の御存じのことを挙げてください。 (発言する者あり)


○浜田委員長 速記をとめてください。 〔速記中止〕


○浜田委員長 速記を起こしてください。 金田法務大臣。


○金田国務大臣 ただいまの御質問にお答えをいたします。
 刑法の原則について、今お話がございました。恐らく罪刑法定主義を想定されているんだと私は受けとめておりますが、一定の行為を犯罪として、行為者を処罰するには、あらかじめ成文の刑罰法規によって犯罪と刑罰が規定されていることを要するという原則をいうものと思います。その趣旨は、国家の刑罰権を法律の定める限度に制限することによって、個人の権利と自由を擁護しようとするところにあるものだと思っております。そういう見地から、しっかりと国民の皆さんの安心、安全を守り、そのための国際組織犯罪防止条約の国内法の中でその手当てをしていくということは、非常に重要な立法事由として受けとめることができるのではないかというふうに考えております。【この段落の、「そういう見地から」という大臣の発言は意図が不明。罪刑法定主義を守りながら、国内法を手当てするということを言いたかったようだが、罪刑法定主義の見地から、国民の安心安全を守り、さらに国内法の手当てに繋がるので、国民の安心安全が、罪刑法定主義からかかるのか、それとも国内法手当てにかかるのか、真意を測りかねた】
 したがいまして、そういう中で私たちは検討を現在進めておりまして、その成案を得ようと努力をしております。その中で、それができますにつれて皆様にお答えできる部分も部分的にふえてくると思いますし、しっかりと丁寧な説明をしていきたい、このように考えておる次第であります。


○井出委員 罪刑法定主義はもちろん言うまでも ありませんが、一つ、私が指摘をしておきたいのは、刑法における謙抑主義である。その一つは、 補充性。刑罰は、最後の手段にとどめるべきである。もう一つは、断片性。刑法による規制は、生 活領域の全てではなく、社会秩序維持にとって必 要最小限の領域にとどめるべきである。もう一つ、 最後が、寛容性。法益保護のためにやむを得ない 事情がない限り、寛容の精神を重んじて処罰を差し控えるべきである。
 今、国民の安心、安全というお話もありましたが、この法案の一つの論点にテロ対策というものが挙げられております。国際的な条約、枠組みに参加して、国際的な犯罪、金銭、経済犯に対応していく、それはテロともつながりがある、そういうところは私も一定の理解をしております。条約に入ることについては、私も真摯に検討をしてまいりたいと思っております。
 しかし、その一方で、だからといって、これまで限定的にやってきた共謀罪を、対象となる罰を広げていいのか。日本の刑法の謙抑主義というものは、今ここで議論しているだけではなく、昭和四十年、五十年代にも刑法の大きな改正があって、学界を巻き込んだ大きな議論にもなりました。
 現状の日本は、刑法という法律の謙抑性をまず 守っている、ほかの国は必ずしもそうではない、なおかつ、どこの国よりも、どこの先進国よりも良好な治安を保っている。私は、このことは日本の非常に大事な国柄であると思っております。だからこそ、この謙抑主義というものは守っていただきたい。【この段落は、私が質問で一番強調したかった部分。信濃毎日新聞が少し記事にしてくれたが、テレビは触れず。テレビは音、印象、映像が一番のメディアなので、内容的なことは扱いにくいという短所がある】
 それから、テロ対策について申し上げれば、自民党の委員の皆さんの中にはかつて警察のトップをされた方もいると思います。よく御存じだと思いますが、この法律で国際的な枠組みができたからといって、すぐに何か具体的に東京オリンピックに向けて効果が出てくるわけではございません。最終的には、入国の際の、また人が多く集まる場所の持ち物検査ですとか、都道府県警の、自治体の、民間の地道な努力、国民の協力、そうしたもので初めてテロ対策というものが実る。「この条約さえ入ればテロ対策は万全だ」、「これに入らなければ東京オリンピックはできないと言っても過言ではない」。そもそもテロ対策に対する認識を間違っているのは金田法務大臣だと私は思いますが、答弁を求めます。【この段落も、内容的に非常に強調したかった部分。共謀罪を作って、国際条約を批准しても、テロ対策の決めてでもなんでもなく、気休め程度でしかない。むしろ、テロ対策が、共謀罪、国際条約頼みになりでもしたら、本当におかしなことに。政府の誇大広告であることを理解してほしい。また、外務省によると、この国際条約には北朝鮮も入っているが、日本が参加しても、拉致事件解決のための捜査共助や、容疑者の引き渡しは一切行われないだろうとのこと】


○金田国務大臣 ただいま井出委員から御指摘がございました。
 確かに、刑法の基本原則には、お話にございました謙抑主義というものはあろうかと思います。刑法の発動は全ての違法行為を対象とすべきではない、そして、刑罰は必要やむを得ない場合に限って適用されるべきであるという原則、これを謙抑主義というと私も理解しておるんですが、そういう前提に立ってのお話かと思います。
 しかしながら、一方で、今、国際組織犯罪防止 条約が世界じゅうの百八十七カ国で締結をされ、我が国は、署名はしているのですがこれに加盟をしていない十一カ国の一つとして存在をしております。
 やはり、国際犯罪の犯罪者をお互いの国が連携してしっかりと取り押さえていく、そういう考え方のもとに、情報交換もございます、そういうもとにこれをやろうという意味である以上、我が国がこれに同意をし、かつ一緒になって国内法の手当てをしながらそういう努力をしていくということは、非常に重要な立法事由になるものと思うわけであります。
 ですから、委員がおっしゃるように、さまざまな立場の皆さんの連携で、安心と安全、そして個々人の自由、幸せをしっかりと守るという気持ちを持つことが最も大事である、だからこれはそのための重要な課題である、このように思っておりますので、私の魂はそういう思いで、この法案の先行きに進めるべく努力をしているところであります。


○井出委員 この条約に入ることは、その必要性 は私も認めております。しかし、過去の議論でも、 この条約を満たすためにどういう回答を出すか、 百八十七の国も入っている、そのことは外務省が 一生懸命考えてきた。法務省はその中でどれだけ、刑法の原則、これまでの国内法を守りながらその調和をとるか、むしろ慎重なブレーキ役を果たしてこなければいけなかったということは申し上げておきたい。
 時間が参りましたので、最後に一つお聞きをしますが、金田大臣は、なぜ、どうして法務大臣になられたのですか。【テレビで取り上げられた一語。この真意は、大臣の答弁を受けた私の最終発言から汲み取っていただければ幸い】


○金田国務大臣 まず、今の御質問にお答えする前にですが、私は、立法事由というのは幾つかある、このように思っております。今回のテロ等準備罪の法案の立法事由というものはしっかりと幾つかあります。もう少し時間があれば、ここで御説明をしたいと思っております。
 それからもう一つは、きょうは外務大臣がここにおられませんが、私は、外務大臣の所管事務について先ほどの答弁で触れてしまいました。でも、私は、その先を思う、先生と同じです、井出先生と同じです。我々はやはり国民の幸せと安心と安全を守りたい、その一心で議論をしている、このように思っております。ですから、その点だけは御理解をいただきたい。
 その上で申し上げます。
私は、どのような理由で法務大臣に任命されたのかは、私としては理解しているとは思っていても、内心に思っていることはあっても、それを申し上げることは適切ではないと思っております。しかしながら、与えられた職責に対しましてはしっかりと、しっかりと誠意を持って頑張ってまいりたい、このように思っている次第であります。【なぜ大臣になったのかとの問いに対する答弁に突っ込まないようにしようと思っていたが、「内心に思っていることを申し上げることは適切ではない」というところは、意味がよくわからなかった。突っ込もうかとも思ったが、私も内心にとどめておくことにした】


○井出委員 立法事実があるなら、今後の審議で 示していただきたい。
それから、なぜ金田大臣が法務大臣になられたのか。大臣の所信表明、記者会見の中で、大臣は、自分はかつて大蔵省の主計局にいた、法務関係の予算を扱った、矯正施設に視察にも行った、そういうところで自分は頑張りたい、明確にそういうようなことをおっしゃったと私は記憶しております。もう少し冷静になれば。もうその初心を忘れてしまったのか。そして、何よりも、今、総理から任命をされたと。きょうの答弁も、ごらんのとおり四苦八苦している。任命されたからやっているんだ、職責を果たそうとしていて、果たせていないと思いますよ。【私の発言を聞いていた大臣が、「そういうことか」とでも言いたげに、自分の膝を、手で強く打つ姿が目に入る。法務大臣にかけるご自身の思いをストレートに言っていただきたかっただが、それが出ず、私も残念】
 そういう大臣に対する国民の批判というものは極めて強く、その最たる例が今回の大臣の件であり、大臣のもとで断じてこの法案審議に入ることは認めない、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。


○浜田委員長 これにて井出君の質疑は終了いたしました。

 

情報監視審査会 国会報告政府の特定秘密の指定状況などをチェックする、衆参それぞれの情報監視審査会が、きのう今年度の活動報告書を国会に提出。私は衆の審査会のメンバー。昨日今日の新聞やテレビをチェックしたが、 法律案審議の時や、法律施行時に比べると記事やニュースが少ない。報告書の内容をさらに読み込み、追加の取材によって、もっと掘り下げた報道は可能だと思うので、引き続きの報道に期待したい。法律制定時に、チェックが必要だと幾度も報じたマスコミに、自らもその役割を果たし続けることを期待したい。

 


これまで、情報監視審査会の活動について、私は発信を控えてきたが、報告書を公表したことによって、私が審査会委員として守秘義務を負う部分とそうでない部分がはっきりしたので、この審査会報告について少々述べてみたい。

 


 読売の今朝の朝刊には「政府、国会とも手探りの状態であることが浮き彫りになった」とあるが、それはその通り。手探りの中、私としては力を尽くしたが、特定秘密の指定の適否を判断するという到達点に達しなかったことは、審査会として期待された結果を出せたとは言えないと言わざるをえない。

 


また、読売は衆議院の報告書の「今後の政府の対応では勧告の対象とすることもありうる」という部分を引用。衆参とも、審査会が有する政府への勧告権はこの1年間発動しなかったが、 衆議院では、審査会の審議の中で、政府がこちらの要望に真摯に対応することも何度もあったので、今後のさらなる真摯な対応を期待し、勧告にしなかったというのが、私の思い。

 


毎日新聞朝刊は、「衆議院の報告書は審査会の質疑応答の断片を記した。そこからは情報提供にかたくなな省庁側の姿勢が浮かぶ」と書いている。我々が、主な質疑を公開したのは、情報監視審査会で一体どういうやりとりが行われているか、できるだけ広く国民に知らせるためであり、政府が公にしていない情報は割愛している。このため、省庁が非協力にみえるかもしれないが、 報告書の記載以上に、政府が協力的に説明をしてくれた議論もあったし、報告書の文字通り、非協力的だった議論もあったと付言しておきたい。

 


毎日の記事では、政府内の特定秘密チェック機関である 「独立公文書管理監が昨年末に公表した報告書は、内容の薄さが際立っている」と書いているが、私も同じ思い。国会の情報監視審査会よりも、人も時間もかけた調査をしたはずなのに、独立公文書監の報告書からは、我々の報告書のような、問題意識、政府に対する意見というものが伝わってこない。その原因は何なのか。今後の国会審議で明らかにしていきたい。

 


毎日新聞によると、アメリカ上院の、対外情報機関の監視組織は2年間に112回開催、イギリスも会期中は週一回の定期開催であり、衆議院の9回、参議院の15回は少ないと指摘している。 回数の少なさは私も課題の一つと感じているが、8人のメンバーが揃う日程の確保ができなかったというのが正直なところ。予算委員会の要職にあるメンバーもいれば、私も、審査会の他、法務委員会、農林水産委員会など複数の委員会を持つ。1人の国会議員が複数の委員会を掛け持ちする状態では、差し替えのきかない情報監視審査会の日程に影響が出ることが避けられない。情報監視審査会の開催回数を増やし、審議時間を十分に確保するためには、審査会メンバーが、他の委員会から外れるなどの、超党派の取り決めが、今後、必要かもしれない。

 


東京新聞の記事を見ると、「公文書管理の問題に詳しい長野県短大の瀬畑源教授は『政府は特定秘密の運用をッチェックできるだけの十分な情報を審査会にしていない。 制度の限界があることは確かだが、審査会側も勧告権限を使うなどして、非協力的な態度を改めさせるよう努力するべきだ』と指摘する」とあるが、ここは先ほども書いたが、まだ模索中、 どうしたら、こちらの望む情報を政府が遅滞なく出すような関係を築けるか、審査会として努力を続けている最中だ。

 


分厚い報道をしている朝日新聞は、社説タイトルが「追認機関ではいけない」と厳しい。朝日の社説には「監視の名に値する内容とはほど遠かった」「国会の責任が果たせたとは到底言えない」「勧告になぜ踏み込まなかったのか」と厳しい言葉が続く。勧告を見送った理由は先ほど述べたが、追認機関になってはいけないという思いは、強く持っている。朝日新聞の一面は、衆院の報告書で公表された審査会の主な質疑を重点的に1面に取り上げ、審議内容を想起しやすい紙面になっている。

 


朝日の有識者インタビューも、1人は「何が指定されたのかわからないということがわかったのが唯一の収穫」と厳しいが、もう1人は、衆院の審査会が、文書の廃棄を防ぐ提案をしたことなどから「初年度の活動としては一定の評価ができる」とコメントしていて、今後の活動に、さらに意を強くした。
最後は、写真入りで厚い報道をしている、私の地元、信濃毎日新聞。社説は、タイトルが「政府への不信がにじむ」。文中にも「報告書の指摘からは、政府主導の運用体制に対する審査会の苛立ちが見て取れる」と、私の思いを代弁してくれている記述もある。信濃毎日新聞の有識者コメントは、「実質的な成果は少ない」「衆議院が、非公開だった審議の詳細な経過を明らかにしたことは一定の評価ができる」とあるが、実質的な成果が少ない点は、私も同じ思い。

 


最後に私の、年次活動の感想を述べると、時間の確保と、自分の専門能力不足が大きな壁だった。時間については準備に妥協せず、審議でも与党の配慮により、多くの発言の機会をいただいたが、絶対的に不足、不完全燃焼の審議もあった。不完全燃焼の審議部分については、報告書に今後の課題として掲載してあるので、不完全燃焼のまま終わらせず、引き続き審議を重ねていくことにしている。また、専門性については、相談相手すら限定される中、一番の壁であった。しかし、守秘義務の範囲で、できる限りの助けを借り、審議前の分析に多くの時間をかけたことで、問題点の絞り込みなど、一定の役割を果たすことができた。

 


信濃毎日の記事にあった「実質的な成果が少ない」ことは、どう抗っても否定しがたい事実である。報告書に残された課題を明記したのは、課題を放置せず、あくまで実質的な成果を求める意思表示であり、来年度のチェック活動にも全力を尽くしたい。

井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて