台風19号。山間部被害。   2019 年 11 月 20 日

台風19号が襲来してからずっと地元を回り、「一級河川の中上流部、山間部の被害」について考えた。東北など他地域でも、山間地は似たような実情の所があると思われる。

・千曲川本流のみならず、中小河川、集落を流れる用水路の決壊による局所的大被害が、多数箇所で確認。被害箇所が分散しているため、甚大な被害にもかかわらず報道されない、周知されない問題も。一方で、分散した被害はSNS等で発信されて把握されたケースも。

・越水ではなく、護岸などが削られたことによる、橋、道路の甚大な被害。

・越水ではなく、土砂岩石で河川が埋め尽くされたことによる河川、用水路の決壊。

・上流部、山間部では山崩れ多数。川からの水と、山からの水・土砂崩れでサンドイッチされる形での大被害。

・停電。倒木が原因の停電は復旧が長期化。

・交通の要となる橋、道路が通行不可に。在来線の復旧、代替輸送の確保も大きな課題。代替となり得るバス業界の慢性的な人不足、運転手不足も。

・復旧の人手。地縁血縁、地元役場職員の総力で復旧が進む一方、小規模自治体はボランティア受け入れ態勢を大きく構えることができないという問題も。被害箇所が分散し、ボランティアの足も課題の一つ。ボランティアを多く受け入れるためのボランティア(運営側のボランティア)の必要性も。

以下、被災箇所の写真を列挙するので、一人でも多くの方に、山間部の甚大な被害について知っていただければと思う。

下流原則   2019 年 11 月 20 日

「下流原則(河川改修は下流を先に行う)」は、少し調べてみたらあちこちで言われているものの、はっきりと具体的にその必要性を述べているのは、近畿地方整備局の淀川水系河川整備計画だった。

橋下元大阪府知事の「上流を氾濫させて下流を守るという考え方もある」発言は、淀川水系河川整備計画をふまえた発言と思われる。

上流を整備して水の流れを良くしても、下流が整備されていなければ下流の氾濫リスクが高まるので危ないというのは、水量調整対策としては確かにその通りだ。

ただ、台風19号で私が感じたのは水量水流だけでなく、土砂や岩石が上流から下流に流れて川底を浅くして下流の氾濫リスクを上げたほか、流木が水流を変えて氾濫を誘発した。

土砂岩石が下流に流れて氾濫を誘発しないようにするには、普段から上流域の土砂岩石を取り除いておく他ない。また、流木は河川事業というよりは治山事業かもしれないが、下流への悪影響を考慮すれば上流の最優先課題ではないか。

私は千曲川源流も地元にあるので、南佐久、佐久ぐらいが千曲川上流で、小諸、東御、上田が中流域、坂城、千曲市が下流の最初ぐらいという感覚だが、新潟も含めた千曲川〜信濃川からすると、長野市あたりも上流中流と捉えている省庁との認識のズレもあった。きょう上田市の被災地を訪れた国交省の役人の説明によると、上田市の別所線の橋が落ちたあたりは、50メートルごとに1メートル高さが低くなっていて、「急流域」との説明だった。一般的に河口・下流は、4キロで1メートルの高さ変化との説明もあった。

川の流れや地形が台風の前と後で大きく変わったとの説明を受けた衆議院国土交通委員会のメンバーから、「もともとあった中州はどのように管理してたのか、平時から中州の木々を伐採などしておけば違う結果になったのではないか」という質問も出た。

一級河川は国管理だが、上流部や山間部は県に管理を押し付けられている。そうなると都道府県の財布事情で管理も変わってくる。

水量水流管理は下流原則を尊重し、流木や土砂岩石が下流にいくことを予防していくには、川のみならず、上流の山の管理、環境省や農林水産省を含めた対策が必要だろう。

 

大阪在住で、福祉防災が専門の湯井恵美子さんが10月17日と28日に佐久穂町を訪れ、私も同行した。

17日は、佐久穂町のボランティアセンター、福祉避難所となった老健、被災住民の方々、いまなお避難所で生活される方々からお話を伺った。

湯井さんの被災者や自治体へのアドバイス内容はもちろんだが、被災者と被災自治体に寄り添う姿勢、住民や職員との話し方は大変参考になった。

被災された方も被災自治体も、人手や物資など、「もっともっとお願いしていいんですよ」ということを丁寧に伝えてくださった。


28日、湯井さんは、兵庫県立大学大学院の先生方を連れて佐久穂町に来てくださった。

兵庫県立大学大学院には減災復興研究科があり、科長の室崎益輝さんは日本災害復興学会で特別顧問もされている方。准教授の澤田雅浩さんは、中越地震など、山間部復興のエキスパート。

17日から10日経った被災現場は、道路や橋、護岸の復旧工事が進む一方で、傾いていた家がさらに傾いたように見えるなど、予断を許さない状況だった。

町長は休む間もなく大変な状況は変わらずだったが、他の自治体職員の応援が入り、また、現場に自衛隊の災対部隊も入って、人的な後方支援が見えるようになってきていた。

千曲川のほんのごく一部は、国が県に代わって護岸工事を実施しているが、佐久穂町では、抜井(ぬくい)川や余地川など、千曲川以外の川で甚大な被害が出ている。

先生方によると、権限代行で国が工事をしてくれる時は、地元自治体と県、国とで調整会議を早急に立ち上げて、被災地を縦割りにするのではなく網羅的に復興を進めることが良いとのこと。

先生方によると、ほとんどの災害で、被災者や自治体は現場復興を望むという。しかし、1、2年経っていろいろな選択肢が考えられるようになると、将来を見据えた考えができるようになるという。

例えば、ハザードマップ上危険とされる場所は、現状復旧で良いのか。拡幅工事をして、被災者が移転できるようにするなど、改良復旧を念頭に、被害対策事業を活用するべきではないか。この辺りの知恵出しや発信は、やはり地元が頑張らなければいけない。地元が提案をしなければ、国や県は現状復旧に頭がいってしまうと先生方は話してくれた。

あと、浸水等でダメになってしまった田んぼを見て、なりわいとして農業をしていなくても、自給自足として米作りをしていたのであれば、田んぼがダメなままだと、これまで不要だった食費(米代)が発生し、被災生活のさらなる負担になる。暮らしの本当の復興には時間がかかるが、せめて来春、暖かくなる頃までに田畑が復旧すると、農業とともに暮らしてきた人にとっては、気持ちがより前向きになれるのではないかとのこと。

また、山間部の住宅は、面積の広い、昔からのしっかりした住宅が多いので、再建費用が多くかかるという話もあった。

台風19号は、全国的に大きな被害をもたらしたものの、山間部の様に報道されていないところがある。また、山間部でも、例えば佐久穂町は、町の中心部は大丈夫だが奥の集落が大変など、町の中でも被害に大きな違いがある。このように、被害がバラけた状態だと、被災者は長くかかる復旧と向き合い続けなければならないが、被害のなかったところは、被害や台風のことが割合早く過去の話となってしまう。

被害にあったかあわなかったか、被害にあってもその重い軽いによって、人々の気持ちに、知らず知らずのうちに大きな溝ができてしまうという。被災者の復旧復興が遅れてしまう、取り残されてしまうことのないように、地域全体、自治体全体、県や国全体で、復旧復興ムードを高め続け、心を一つにして被災と向き合うことが大切という話が一番響いた。

あと、議会、議員(国会議員や地方議員)は災害対策の法律で定められた役割があるわけではなく、国や自治体は緊急対策を迅速、即断でやるため、議会、議員が宙ぶらりんというか、普段なら議会にはかることもはかっている暇がないので飛ばされたような存在になってしまい、そうした中で議員がどう動くのかは、非常に大切との話もいただいた。

政治家になって地元がこんなに大きな被災をしたことはなく、12日、自宅アパートでじっと避難している時から、明日からどう活動するべきか、どう活動するべきかということを考えながらここまできたが、情報の収集と発信、地元や県と、国などとのつなぎ役になることが一番の役割だと思って、被災地と東京を行ったり来たりしている。

朝夕の冷えも本格的になってきた。冬に備え少しでも復旧復興を進めたい。

令和元年 台風19号について   2019 年 10 月 13 日

20191113_daihu19gou_irisawa

激しい風雨から一夜明け、全国各地、また、長野県内や私たちの地元でも大変大きな被害が出ました。明るくなるとともに、さらに、大きな被害があちこちで分かってきています。

お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

また、私の地元も、千曲川を中心に大きな被害があり、多くの方からご心配、激励、ボランティアの申し出などを賜りました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

当分の間、被害情報を収集し、国・政府関係機関との連携をはかって参りますので、ご理解ご協力賜りますようお願い申し上げます。

風雨は去ったとはいえ、河川の増水、さらなる土砂崩れの可能性など、災害は現在進行中です。引き続き細心の注意をし、気遣い、支え合って、この災害を乗り越えましょう。

捜索の進展を祈る   2014 年 9 月 28 日

御嶽山の噴火から一夜明け、山のふもとの王滝村、木曽町の災害対策本部を訪ねた。4人が亡くなり、27人が心肺停止、数十人が大けがと報じられている。亡くなられた方のご冥福と、被災された人へ心からお見舞い申し上げるとともに、捜索の進展を願ってやまない。

 

王滝村の高台にある公園からは、噴煙を上げ続ける御嶽山がはっきりと見えた。

IMG_2226

 

 

 

 

 

 

 

 

災害対策本部となっている役場や、登山者の家族が待機している公民館は、多くのマスコミや車が目についたが、静かだった。皆捜索を見守るしかない状況だった。

 

IMG_2212

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IMG_2205

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IMG_7783

 

 

 

 

 

 

 

木曽町の町長や県の地方事務所長、王滝村の村長の話を総合すると、火口は山頂の長野県側、「王滝頂上」西側ではないかとのこと。御嶽山はロープウェイや登山道が整備されているから、3000メートル越えの山としては登りやすい。また、信仰の山としても知られている。きのうは、紅葉もきれいで大勢の登山客がいたとのこと。登山者カードを提出していない登山客もいるとみられ、被災した人の安否が全て確認されるまで、まだまだ時間がかかりそうとのこと。

IMG_2197

 

 

 

 

 

 

 

 

火山灰は風にのって開田高原の方にいき、その先の山梨や野辺山に達しているもようとのこと。開田高原の特産白菜をはじめ、各地で農業被害が出ている。

 

時折、ヘリの大きな音や救急車のサイレンが鳴り響き、その度に祈るような思いだった。山頂に向かって手を合わせて、被災者の無事と捜索の安全を祈って帰路についた。

IMG_7837

 

 

 

 

 

 

 

IMG_7832

 

 

 

 

 

 

 

 

IMG_7827

 

 

 

 

 

 

 

帰りの車で、「きょうは捜索を中断した」とニュースでやっていたが、明日以降もなんとか頑張っていただきたい。登山者の安否確認、そして山頂やその周辺が落ち着きを取り戻すには相当の時間がかかりそうだ。政府をあげて捜索、その後の復旧に取り組んでいただきたい。

井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて