こんばんは。ごぶさたしています。

「選挙を考える5~情勢調査報道 中~」では調査の信ぴょう性を考えます。

 

まず、前回お示しした、知事選の時の情勢調査報道の見出しをもう一度並べます。

「腰原氏と阿部氏が接戦 松本氏、追い上げ図る 『投票先未定4割以上』」

(信濃毎日4日朝刊より引用)

「長野県知事選情勢調査 阿部、腰原氏横一線」

(読売2日朝刊より引用)

「自民支援の腰原氏やや先行 長野県知事選朝日新聞情勢調査」

(朝日HP1日午後10時27分配信より引用)

「競る阿部・腰原氏、追う松本氏 投票先『未定』依然6割」

(信濃毎日7月25日朝刊より引用)

 

今回は②、③、④に注目します。

まず、②と③は、いずれも8月の1日までの2、3日間に電話で調査が行われ、

1000人以上から回答を得ていることが記事の中で明示されています。

前回お話ししましたように接戦の場合、新聞社では調査結果で上位だった候補者を

見出しで先に出すなどの配慮をする慣例があるといわれています。

この慣例に従うと、読売の調査では阿部さんが、

朝日の調査では腰原さんがやや先行していたと解釈できます。

結果はものすごい僅差だったので、調査の当たりはずれを議論することはしません。

ただ、調査結果が各社で異なっていたことは指摘できると思います。

 

ここで言いたいのは、そもそも投票日の1週間も前に行われる調査は

信ぴょう性が低いということです。

理由はただ1つ。有権者が投票する人をまだ決めていないからです。

 

それは、さらに1週間前に行われた

④の信濃毎日の見出しをみていただくと、よりわかっていただけると思います。

皆さんも自分の家に投票日の10日ぐらい前に電話がかかってきて

調査を受けた場面を想像してみてください。

熱心な支援者でない限り

投票日の10日も前に投票する人を決めている人はいないでしょう。

そうすると、特定の候補者を回答しないか、

「あえて今投票するとしたらどうするか」を考えることになります。

 

情勢調査がより結果に近い数字になるのが

投票日の直前になるのはごく自然なことです。

 

中盤の情勢調査報道ではどこの新聞も、

「ただ、有権者の○○パーセントが態度を明らかにしておらず、今後情勢がかわる可能性がある」

という内容の文章を記載します。

この文章が、中盤情勢においてはもっとも正確な部分であり

調査結果のかなりの割合を占めているケースが多いです。

 

現在の情勢調査報道は

各候補者の順番ばかりが目立つように書かれている点に問題があります。

また、投票日前日や当日になると具体的な候補者名を挙げた情勢調査報道は影をひそめます。

それは投票結果への影響が大きいことを、報道する側もわかっているからです。

そうすると中盤情勢の記事の見出しの

候補者の順番だけが独り歩きすることにもなりかねません。

 こうした情勢調査とその報道の背景を理解していただければ幸いです。

井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて