こんにちは。

先週、鹿児島地裁で、殺人事件について無罪判決が出た。裁判員裁判で、死刑求刑事件に対して無罪判決が出るのは初めてだ。

報道を見る限り、被告となった男性の指紋が被害者宅にあったが、凶器とされたスコップには指紋が無かった。判決は、被告の『被害者宅には行ったことがない』という主張を嘘だと指摘しつつも無罪とした。検察の立証が不十分ということだろう。真実は如何に?真犯人は誰か?という結論は出なかったが、まさに、「疑わしきは被告人の利益に」という判断だったのだろう。検察が控訴すれば審理は続くことになるが、高裁は裁判員裁判の一身を重視するので、さらに丁寧な立証が求められることになる。

きのう、小諸市で人権フォーラムがあった。ジャーナリストの江川紹子さんが講演し、会場の小諸市文化センターは満員だった。

江川さんは講演で鹿児島地裁の判決について、判決の背景に最近の検察不信があったのではないかと話していた。私も大阪地検特捜部の証拠改ざん事件など、検察に対する不信感が、直接の影響ではないにせよ、審理を慎重にさせたと推測する。

江川さんはさらに、「捜査の可視化」、丁寧に言うと「取調べをすべて録音または録画して、裁判で疑問点が出たときに、取調べを確認できるようにするべきだ」と話していた。

私は、検察・警察を信用したいと思っているので、取り調べの可視化には前々から慎重論だ。江川さんも、「検察・警察のすべてがすべて悪いというつもりはない」と言っていた。 しかし、捜査機関に対する不信が高まっている現状を考えると、捜査機関の信頼快復のために「可視化」に踏み切らざるをえない段階まできてしまったのではないかと講演を聴いて考えた。

この議論は法治国家の根幹にかかわる議論なので、政権の延命や政局とは一線を画して徹底的に議論することを望みたい。
井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて