追いつめられたら、人は動く   2011 年 2 月 18 日

今年は、「政策ではない政局の話」はできるだけ触れないようにしようと思っていたが、思うところがあったので少しだけ書きたい。

きのう、民主党の衆議院議員16人が、離党せずに会派離脱を表明した。16人の議員が決断し、行動に出たということはニュースである。真っ先に感じたことは「追いつめられたら、人は動く」ということだ。16人はいずれも前回の衆院選挙で選挙区ではなく比例単独候補として当選した、当選1回から2回のメンバーだ。一昨年の民主党への追い風に乗って当選した人たちだ。次の選挙では選挙区もない。ましてや比例代表で今の民主党から、前回のような大量の当選者を出すことは望めそうにもない。

民主党で追いつめられていたのは、小沢一郎氏だけではない。小沢氏は追いつめられても存在感を発揮し続ける力がある。民主党内で本当に追い込まれていたのは、小沢氏ではなく、きのう決起した16人だったのではないか。菅政権に力があるようにはみえないので「窮鼠猫を噛む」とはいかないが、追いつめられたら人は行動する。

しかし16人の未来は決して明るくない。私が無知なのかもしれないが、16人1人1人の知名度がない。リーダーたる人物がいればリーダーをシンボルにして、民主党を離党することもできただろう。16人の個々の力がないから、小沢さんの影がちらつくと報道されてしまう。今朝の朝日新聞によると、16人の代表である渡辺浩一郎議員は記者会見で 「我々は、民主党と国民の約束の上に存在する比例代表の議員だからこそ、現政権に黙っていられない。我々こそが真の民主党だ」と話したようだ。 16人は、菅政権がマニフェストを修正していること、つまり政策の違いが行動の原点だと言いたいようだが、その思いは残念ながら伝わらない。民主党がマニフェストを放棄したことは誰の目からも明らかであり、マニフェストを実行できると信じている人はほとんどいない。

先ほども触れたが16人にはリーダーたる人物がいない。16人1人1人がこれまでどれだけの活動をしてきたのか。16人にとっては、反旗をかかげても「民主党」の看板が最大の肩書であり、その看板にすがらないと勝負に出られなかったのだろう。ブームにのって当選を果たした16人。16人は、民主党が候補者をかき集めた「寄せ集め集団」であることを端的に表している。そういう見方をすれば16人は「真の民主党」だ。民主党内で最も追いつめられた人たちが最初に動き出したにすぎない。 16人という人数なので今後の政局によっては脚光を浴びるかもしれないが、私は、16人に国を託す気にはならない。
井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて