原発事故の被災者が東電社員やその家族だった場合に、賠償が国の示した指針よりも大幅に低い金額だったり、支払い済みの賠償金を返還請求されたり、和解案を東電が拒否しているといった記事が、今年に入ってから毎日新聞でたびたび掲載されてきた。

 

東京電力は、被災した社員の住居実態に応じて賠償の終期を決める社内限りの文書を配ったり、家財の賠償についても社員向けのメールで「一般の方への賠償金額と大きく異なることは会社としても大変心苦しいところですが、何とぞご理解ください」と、ほかの被災者より我慢しろということを社員に言ってきた。被災した社員の中には事故直後に現場で作業に関わった人も多い。

 

社員やその家族という理由だけで賠償が大きく減じられることはおかしいのではないかとずっと言ってきた。2月、3月、そしてきょうと3度質問に立って多くのことがわかってきた。

 

東電はこれまで約2年半の間におよそ3兆5000億円の賠償金を支払っている。まずこの金額の大きさを改めて真摯に受けとめた。

和解を仲介するADRが提示した和解案を、東電側が拒否して話し合いが打ち切られた数は15件だが、なんと15件の被災者は全て東電の社員と家族だった。

 

賠償や和解を第三者的立場から所管する文科省の下村大臣は「社員であるか否かのみで賠償額を変えることは考えていない」旨答弁している。

 

再三の質問や電話での聞き取りに対し東電は「社員と他の被災者との差別はない」、「社員は家族構成や被災状況などが詳細に把握できるから細やかに(結果として一般の被災者より厳しく)査定される」、「足りない賠償金は個々に相談に応じることにする」などと言うばかりで動かなかった。

 

しかし、きょうようやく、被災した社員向けの相談窓口を設けたと、動き出したと石崎副社長が答弁で明らかにした。

まだ40人ぐらいしか相談に来ていないから相談窓口の存在を周知するとも言っていた。わずかだが改善に前進した。しかし、相談に来ると想定される被災社員は2000人いるという。この数字も驚きだった。

 

この問題は毎日新聞しかとりあげてこなかったが、その理由を考えると、おそらく毎日新聞は被災した社員に取材を重ねていて、取材源を明かすことができない。だから他のメディアは取材の仕様がなかったのだと思う。

 

報道するメディアが少なかろうと、問題と思われる事実が調査報道で明らかになれば、それを政治の場で問いただすのは私たちの仕事だろう。問題の全てが解決したとはとても言い難いが、改善の一歩が示されたことは東電、経産省、文科省、そしてなによりも問題提起をした毎日新聞に敬意を表したい。


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井出ようせいブログシリーズ 被災地をみて