行動なくして
実現なし
007.被災地をみて

下流原則

「下流原則(河川改修は下流を先に行う)」は、少し調べてみたらあちこちで言われているものの、はっきりと具体的にその必要性を述べているのは、近畿地方整備局の淀川水系河川整備計画だった。

橋下元大阪府知事の「上流を氾濫させて下流を守るという考え方もある」発言は、淀川水系河川整備計画をふまえた発言と思われる。

上流を整備して水の流れを良くしても、下流が整備されていなければ下流の氾濫リスクが高まるので危ないというのは、水量調整対策としては確かにその通りだ。

ただ、台風19号で私が感じたのは水量水流だけでなく、土砂や岩石が上流から下流に流れて川底を浅くして下流の氾濫リスクを上げたほか、流木が水流を変えて氾濫を誘発した。

土砂岩石が下流に流れて氾濫を誘発しないようにするには、普段から上流域の土砂岩石を取り除いておく他ない。また、流木は河川事業というよりは治山事業かもしれないが、下流への悪影響を考慮すれば上流の最優先課題ではないか。

私は千曲川源流も地元にあるので、南佐久、佐久ぐらいが千曲川上流で、小諸、東御、上田が中流域、坂城、千曲市が下流の最初ぐらいという感覚だが、新潟も含めた千曲川〜信濃川からすると、長野市あたりも上流中流と捉えている省庁との認識のズレもあった。きょう上田市の被災地を訪れた国交省の役人の説明によると、上田市の別所線の橋が落ちたあたりは、50メートルごとに1メートル高さが低くなっていて、「急流域」との説明だった。一般的に河口・下流は、4キロで1メートルの高さ変化との説明もあった。

川の流れや地形が台風の前と後で大きく変わったとの説明を受けた衆議院国土交通委員会のメンバーから、「もともとあった中州はどのように管理してたのか、平時から中州の木々を伐採などしておけば違う結果になったのではないか」という質問も出た。

一級河川は国管理だが、上流部や山間部は県に管理を押し付けられている。そうなると都道府県の財布事情で管理も変わってくる。

水量水流管理は下流原則を尊重し、流木や土砂岩石が下流にいくことを予防していくには、川のみならず、上流の山の管理、環境省や農林水産省を含めた対策が必要だろう。