なぜ、多くの目が入るのか   2013 年 2 月 13 日

(2月12日NHKより)

 

NHKにいた時に、アナウンサーが読むニュースや、番組ナレーションの原稿を作るのが、私(記者)の仕事だった。現場に行って取材をして、原稿書いて、それにデスクの直しが入ったり、カメラマンが撮影した映像にあうような流れに作りかえたり、映像編集マンの意見をきいて修正したりと、ニュースが大きければ大きいほど、多くの人のチェックが入る。

 

予算を議会でチェックするのも似たところがあるなと、国会にいて思う。NHKの目的は、視聴者に有益な情報を提供すること。そのために多くの人の目が入る。予算は、私たちの生活、社会が少しでも良くなるために、多くの議員や政党、その議論を見守るマスコミの目が入るということだろう。


NHKにいた時も今も、本当に、目的に近づいているのだろうかと考えることが多い。国会の予算審議の場合、そもそも、予算と関係のない時事問題に審議時間が割かれることが多い。また、良い質問をする議員がいて、政府側が「前向きに検討します」と、改善に期待のもてる答弁があっても、「こうしました」という反応が返ってこないし、再度それを追求する場面もあまりみない。また、多くの場合、官僚答弁を突き崩すことに議員が苦労している。もちろんそれは議員の力不足もある。国会にとどまらず、都道府県や市町村議会でも、予算案が修正されることは少ないし、否決されたことは聞いたことがない。予算通過が滞り始めると「危機だ危機だ」という具合になっていく。

 

NHKにいた時はどうだったかというと、ニュースは厳しいぐらいのチェックでどんどん直されていく。良く言えば改善だし、悪く言えば「NHKらしく」なっていく。ニュースの場合、情報は現場にあり、取材するのは記者だ。記者が主観的になりすぎて、客観的な視点でニュースが改善されることもある。しかし、ときには客観化、一般化されすぎてしまって、現場の声やニュースの大事なところが消えてしまうこともある。現場に出た記者の声と、それをチェックする多くの目が上手く機能すると、良いニュースや番組ができることはいうまでもない。

 

さて、予算はどうなのか、予算編成の過程で、当然政府は、官庁は全国津々浦々の声を集めているだろう。行政の継続性という点から譲れないことも多いだろう。しかし、国会で予算審議にのぞむ議員もまた、多くの人の声をきいてきている。国会で議論になったことがどうやったら反映されるのだろうか。議員が、質問を言うだけ言ったら満足してしまい、政府側も、質問さえしのげばいいと思っていないか。そんなことを考えながら、詰めを迎えている補正予算審議に参加している。

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